佐野陽一×佐藤由美×奥河洋介×辻村修太郎「郊外をいかに住みやすくするか」

『郊外住宅地の再生とエリアマネジメント』の舞台である横浜の洋光台団地と、関西で先駆的なエリアマネジメントを行っている男山、浜甲子園、泉北ニュータウンの当事者に活動についてお話しいただきました。
居住者とどう連携してきたか、地域環境はどう変わったかなど、多角的な議論を交わし、既成住宅地のエリアマネジメントの可能性についても議論した、横浜と関西の団地におけるエリアマネジメント活動の交流セミナーです。

協力の輪を仲間の外に大きく拡げるには、それぞれの「違い」をそのままに、「相手」と「あなた」が、それぞれ「やりたいこと」が実現できること、加えてそれが「世界の利益」につながることが大切です。 著者の1人であり、NPO法の成立の要の一つであった「シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」元代表の松原明が、その経験等をもとに導いた「協力の組み立て方」を体系的に説明します。
また、同じく著者であり、観光地域づくりの中心にあるDMOの第一人者の大社充が、その立場から地域づくりの現場で活かす方法をお話いただきました。

こばやしあやな×タナカカツキ「日本サウナの活気とクリエイティビティ~ブームを文化に昇華するには~」

2022年、日本のサウナ業界は世界のどの国よりもクリエイティブかつエネルギッシュで、人を惹きつけるポジティブな力に溢れています。
わずか数年で空前の盛り上がりを見せているブームの裏側には、「好きが高じて……」では収まりきらない熱意のもと活動してきた、仕掛け人や愛好家の方々の功績があります。その事例の数々はサウナの本場であるフィンランドの人々が驚き、うらやむほどです。
いままさに、日本人のクリエイティビティと情熱で伝統の常識を突き破り、新しいスタイルを生み出し、さらなる発展を遂げようとしています。そんな中、サウナ文化研究家のこばやしあやなさんが上梓する『クリエイティブサウナの国ニッポン』は、フィンランドの公衆サウナ業界を元気づけるために書かれた、日本のサウナブームを紹介する本です。フィンランド在住であるこばやしさんが日本のサウナ業界を俯瞰すると、そこには「灯台下暗し」とも言える日本人らしいクリエイティビティの数々がありました。
こばやしあやなさんと、日本のサウナ大使でありマンガ家のタナカカツキさんをお迎えし、フィンランド人がうらやむ日本のサウナの素晴らしさをさまざまな観点からお話しいただきました。

有廣悠乃×川原諭×二瓶智充×奥野美里×樋口菜美香×三宅正太「対人支援・福祉ケアのコミュニケーションをよりよく 編」描いて場をつくるグラフィック・レコーディング刊行記念トーク Part2

グラフィック・レコーディングやファシリテーション・グラフィック、グラフィック・ファシリテーション……『描いて場をつくるグラフィック・レコーディング』では、可視化を用いた話し合いの実践例をたくさん収録しました。組織開発から、福祉、教育、行政の現場など、さまざまな現場のヒントが満載です。

連続企画の第2弾では福祉・対人支援の現場でグラレコを実践している共著者のみなさんに集まってもらいました。
福祉(介護から児童福祉まで)、また人のケアに関わる方々も、積極的にグラフィックなどを取り入れて、支援の向こうにいる方々の気持ちを引き出したり、思いを汲み取っておられたりと日々現場の中で実践されています。とはいえ、時代に即した多様性がもとめられる福祉支援の現場でも、グラフィックを導入することへのハードルは低くないのが現実のようです。

今回は、最初にグラレコをやろう!と決めたきっかけや、グラフィックの導入の方法、そして周りと協働しながら、現場でどのように対話実践を行なってきたのかなどをお話してもらいました。

越直美×高木超「ふたりの実践者の視点で見る“SDGsと公民連携によるまちづくり”」

持続可能な地域をつくる旗印としての「SDGs」への注目、そして自治体・民間事業者・市民が互いの強みを出し合いながら政策を進める「公民連携」への関心が高まっています。一方で、すでにある取り組みを表面的にSDGsと紐付けることに終始してしまったり、行政と民間が互いのニーズをつかみきれずプロジェクトが頓挫してしまったりすることも少なくありません。

今回は、「SDGs」「公民連携」それぞれのテーマで実践者として活躍されている2人をゲストにお迎えしました。公民連携やスマートシティ・DXの領域で弁護士として活動する傍ら、企業におけるダイバーシティ経営の促進にも取り組まれている越直美さん(前大津市長/『公民連携まちづくりの実践』著者)。そして、自治体においてSDGsを推進するアドバイザーとして各地で活躍されている高木超さん(慶応義塾大学特任助教/『SDGs×公民連携』著者)です。自治体・民間企業・市民を問わず、こうしたテーマでプロジェクトにかかわる人が直面しがちな課題をトピックとしながら、おふたりにディスカッションいただきました。

高松平藏×花内誠「ドイツと日本のスポーツ都市づくり ~アフターオリンピックに向けて」

ドイツではスポーツが生活に密着し、街を動かすエンジンになっています。多彩なNPO/市民団体がクラブを運営し、走りたくなる自転車道や歩道も完備され、集客イベントだけでなく、マラソン、サイクリングなど余暇を楽しむ運動も盛んです。またこうした地域のスポーツ活動を多くの地元企業が支援しています。
一方、日本では昔からプロスポーツが盛んで、ツーリズムや集客型のスポーツ振興が推進されてきましたが、人々が余暇に自発的にスポーツを楽しめる環境はまだ十分に整備されていません。ただ近年、高齢化が進み、市民が健康でいきいきと暮らせるまちを目指して、スポーツによる都市づくりに取り組む自治体が増えてきました。
こうしたドイツと日本、それぞれのスポーツと都市づくりの現状と可能性について、『ドイツのスポーツ都市』の著者でドイツの地方都市エアランゲン在住のジャーナリスト・高松平藏さんと、長年日本のスポーツビジネスに携わってこられ、スポーツ振興のマネジメントに詳しい立命館大学客員教授の花内誠さんに語っていただきました。

宗田好史×大社充「インバウンド再生—コロナ後へ向けて何をなすべきか」

激増した海外からの観光客が途絶えて半年。
まだまだ先が見えないなか、インバウンドの再生に向けて何をなすべきかを示す『インバウンド再生—コロナ後への観光政策をイタリアと京都から考える』を出版します。

本セミナーでは著者の宗田好史氏を迎え、オーバーツーリズムの愚を繰り返さず、市民に愛される観光に再生するための方策をお話しいただきます。
文化の底力、地域それぞれの文化と文化財の奥深さを伝えることで、イタリアも京都も発展してきました。異文化との交流を通じて自らを革新し、双方の文化を変容、発展させ文化産業を育ててきたのです。
ローマ市民は、観光客はむしろローマをよくした、観光がなければ、ローマは貧しい田舎町、ちょっと油断すれば変化に取り残されたと言います。
かつてイタリアがそうであったように、未来の地域社会では、多様な文化を受け容れて、われわれ自身も変わっていくでしょう。身近な場所での異文化交流は高齢化した地方都市を再生し、文化都市に転換する力になります。
本書では、世界の人々とともに、われわれと彼らの文化を発展させる道を探りました。セミナーで議論を深めたいと思います。

なお、ゲストには体験交流型ツーリズムを切り拓き、DMOなどデスティネーション・マネジメントの普及に力を尽くされている大社充さんをお迎えし、現場視点から議論いただきます。

矢作弘×服部圭郎「コロナで都市は変わるか~未来に向けて論点を整理する~」

コロナ禍が始まってからもうすぐ1年。出口は未だに見えません。
とくに欧米では多くの都市がロックダウンに入るなど過酷な経験をしたことを反映し、興味深い研究論文や調査報告が矢継ぎ早に発表されています。
そこで人々の働き方・暮らし方を含む総体としての都市の「かたち」をめぐる多様な論点を整理した『コロナで都市は変わるか~欧米からの報告』を矢作弘、阿部大輔、服部圭郎、G.コッテーラ、M.ボルゾー二 さんに執筆いただきました。

本セミナーでは、本書で取り上げた都市をめぐるキーワード「高密度と過密」「公共交通と車依存」「コンパクトシティとスプロール型郊外」「複合型大規模開発とテレワーク」「観光や賑わいと3密回避」の概略を矢作さんに、都市計画と感染症の歴史を服部さんに掻い摘まんで説明いただいたあと、我々はどうすべきかに踏み込んで議論を深めたいと思います。
適度な密度の回復をめざしてきた「まちなか再生」、一定の賑わいと交流をもとめてきた「オープンスペースの利活用」など、近年の都市計画・まちづくりの志向は過去のものとせざるをえないのでしょうか。「空き家」はどう捉えればよいのでしょうか?
かつて都市計画はコレラなど水を媒介とした感染症を制御し、より安全な都市づくりに貢献してきました。
飛沫・空気感染にレジリエントでかつ都市の本質的な価値を高める方策があるのでしょうか。

事実に基づいた議論で回答を探ります。