恐れ、すなわち感謝【お盆】|連載「京都の現代歳時記考 -木屋町の花屋のささやかな異議申し立て-」
焼けるように熱いアスファルトの上に、進んでいるのか止まっているのかわからない自動車の列。スタジオのアナウンサーが伝えてくれる上りと下りの渋滞情報、熱中症対策強化の旨。冷房を効かせた車内から排出されているらしい生暖かい空気が、蜃気楼を歪ませる。これぞ日本の、お盆。
その目的は、実家に帰って普段一緒に暮らしていない家族や親戚と夏の休暇を過ごすためであるが、ではなぜ親族と時を過ごすのかというと、ちょっと忘れられがちなのだけれど、この時期に、死んだ人の霊がこの世に帰って来るからである。休暇だから家族と過ごすのではなく、家族全員でご先祖様の霊と過ごすために、休日になっているのである。