モビリティ環境への介入の有無で社会的なコストと便益にどれだけ差が生じるか オランダの公共政策コンサルがイタリアをモデルに試算したレポートを公開

  • オランダ・アムステルダムに本拠を置く公共政策・空間計画分野のコンサルティングファーム「DECISIO」が、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による都市封鎖解除後のモビリティ環境と社会的コストの関係についてシミュレーションしたレポートを公開した。
  • レポートでは、公共領域においてCOVID-19の影響が特に顕著に表れた交通部門にフォーカスし、ヨーロッパの中でも自動車普及率が高く、また人口密度の高い都市が多いイタリアをモデルとして設定。
  • そのうえで、道路などのモビリティ環境に政策的な介入が全くなされなかった場合と、公共交通手段に代わる歩行や自転車などアクティブな移動(active mobility)を促す政策がとられた場合の2つのシナリオで、それぞれの社会的なコストと便益の比較を行った。
  • 主な試算結果は以下のとおり。
    • 政策的介入がなされなかった場合、自家用車の使用が増加することにより、年間140億ユーロの社会的コスト増につながる。特に、渋滞の増加によるものその6割を占め、以前から自動車で移動していた人の移動が阻害されることが原因。
    • 一方、自転車や歩行が促されるような政策的介入がなされた場合、年間90億~200億ユーロの便益がもたらされるとしている。これは主に、労働生産性が向上したり、疾病により失われるQOLや医療費を合計した疾病負荷disease burden / burden of disease)が軽減されたりすることによる。

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