第26回「サンベルトのブーミングシティ オースチンの異変(2)―― QOLの劣化とハイテク企業流出の兆し」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』

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オースチンには主要航空会社のハブ空港はなく、航空需要の急拡大に対応し、1999年にそれまでの市営空港をオースチン・バーグストロム国際空港に格上げしました。以来、拡張工事を進めてきました。

ところが今般、ヴァージン・アトランティック航空がロンドン-オースチンの直行便の運航を停止しました。また、アメリカン航空は、国内12路線(ナッシュビルやシンシナチ)の廃路を決めました。ハイテク関連ビジネス客の需要減がその理由になっています。

次世代のハイテクハブになる夢は潰えるのか?

オースチンの奇跡――シリコンバレーに対峙し「アメリカの、次世代のハイテクハブになる」という夢は何だったの? そう問い掛けるニュースが増えています。

カナダのマーケティング・コンサルティング会社(Resonance Consultancy)が世界の大都市圏(人口100万人以上)について〈Lovability調査〉をしています(30ヵ国の22000人を対象に調べる)。訪ねてみたい/暮らしてみたい/働いてみたい――都市を調べて比較する〈都市の「愛され度調査」〉です。

それによるとオースチン都市圏は、2025年の〈Lovability〉ランキングが世界53位で50位以下に転落する、と予想されています(Austin drops out of top 50‘ world’s best cities ‘list for 2025, culture map austin, Nov.25, 2024)。2022年の43位からは10位のランク落ちです。

(つづく)

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