第20回「高速道路は時代遅れになる⁈(2)――〈Highways to Boulevards〉の成功事例・苦戦事例」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
アメリカ都市で高速道路(州際高速道路=Interstate Highway System,「I-20」のように表記される)を解体、撤去する事例が増えています。
都市内を貫通する高架の高速道路を取り壊して側道にプラタナスを植栽し、高規格の並木道(boulevard)を整備する
都心を走る高速道,を地下に埋め込み、撤去跡を都市公園に造り替える
道路自体を廃止し、車を外縁部の道路に迂回させる
――などの取り組みが行われています。また、高速道路の拡張/延伸計画が潰される事例も増えています。
第19回「高速道路は時代遅れになる⁈(1)――解体、拡張/延伸計画の中止急増」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
アメリカ都市で高速道路(州際高速道路=Interstate Highway System,「I-20」のように表記される)を解体、撤去する事例が増えています。
都市内を貫通する高架の高速道路を取り壊して側道にプラタナスを植栽し、高規格の並木道(boulevard)を整備する
都心を走る高速道,を地下に埋め込み、撤去跡を都市公園に造り替える
道路自体を廃止し、車を外縁部の道路に迂回させる
――などの取り組みが行われています。また、高速道路の拡張/延伸計画が潰される事例も増えています。
第18回「大統領選を左右するラストベルトの近況(3)――ハイテククラスターの形成に伴走して街が活性化する」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
連載の前回では、昨今、幾つかのラストベルト都市でITハイテク/バイオクラスターの形成が急ピッチで進展している話題を紹介しました。しかし、物事には前段があります。ラストベルトでは、ハイテククラスター形成の前兆は、経済危機(2008年)前後に遡ります。このころからITハイテク/バイオ系のプロフェショナルがラストベルト都市に流入し始めました。当初は漸進的な動きでした。それがやがて前回記述したように、大きなハイテク投資を誘発する流れになりました。それには以下の事情がありました。
第17回「大統領選を左右するラストベルトの近況(2)――ハイテク/バイオの新たな集積でブーミングシティに」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
ラストベルトの都市には、理工系の研究/教育でレベルの高い州立大学があります。また、高度医療/先端医学を先導する総合病院/医学部附属病院、トップレベルのシンクタンクがあります。
いずれもかつて繁栄した時代に創設され、現在に受け継がれてきた歴史的レガシーです。
そうした遺産に恵まれた都市の幾つかは、ラストベルトにあってもハイテク/バイオクラスターの形成が急です。この分野で先行してきたシリコンバレー、テキサスのオースチン、東海岸のボストンなどに対峙し、「Silicon/Bio Heartland」と呼ばれる地域が育っています。
第16回「大統領選の勝敗を決めるラストベルトの近況(1)――光と影の斑模様」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
11月の大統領選挙まで半年余という時期に、「R.トランプとJ.バイデンが中国製品に高率関税をかけるのを競っている」という記事が出ました(Trump and Biden’s appeal to Rust Belt turns on tariffs, POLITICO, March 14, 2024)。中国の自動車メーカーがメキシコでEV(電気自動車)を組み立て、アメリカに迂回輸出する戦略を練っている動きを捉え、トランプは「200%の関税をかけるぞ」といきり立って見せました。バイデンも、中国製EVに100%の関税をかける方針を打ち出しました。
第14回「突然、浮上した“ユートピア都市”開発(2)――賛否両論の中、郡民投票へ」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
「突然、浮上した「ユートピア都市」開発(1)――シリコンバレーの富豪が背後に」では、民間企業のCalifornia Forever(CF)がサンフランシスコ(SF)の北東100kmの農牧地に、将来、40万人が暮らす新都市計画を発表したことについて紹介しました。
ここでは、計画をめぐる賛否両論を紹介します。土地を所有する農家/牧畜家、開発予定地を選挙地盤にする政治家(州議会議員)、行政機関、それに都市計画家、ジャーナリスト、環境団体などの間に、大規模ニュータウン開発をめぐって意見の相違があります。
第12回「コロナ禍から回復が遅れるサンフランシスコ(3)――新たなハイテク産業の集積と再生」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
20世紀の代表的な都市学者であるL.マンフォード は、都市の輪廻転生を信じていたと思います。その著書『都市の文化』は、成長、発展した都市がやがて衰退し、荒廃し、ついには「ネクロポリス(死の都)」に至る、という史記ですが、しかし、荒廃した土地には、きっと新しい、小さな命が芽生えている、と書いています。マンフォードの都市思想の基礎には、都市は有機体である、という考えがあります。
サンフランシスコ(SF)は、コロナ禍からの回復でアメリカ都市の最後尾を彷徨っています。特に治安の悪化したダウンタウンの疲弊が深刻です。2月にも老舗百貨店だったメイシーズが閉店を発表しました。「SFは終わった(San Francisco is over!)」という悲観論があることについては、連載の前々回、前回で紹介しました。しかし、ここでは、都市は有機体説を踏まえて「明日のSF」を考えます。「いやぁ、SFは復活する。COVID-19以前に比べ、よりパワフルな先端都市に甦る」という楽観論です。
第11回「コロナ禍から回復が遅れるサンフランシスコ(2)――落ちぶれた都市イメージの再生策」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
COVID-19の打撃から回復が遅れるサンフランシスコ(SF)ですが、そのSFをめぐる悲観論には、治安の悪化も影響しています。経済活動が停滞し、街に人影が少なくなっています。
在野の都市研究家で秀でたジャーナリストでもあったJ.ジェイコブズは、都市学のベストセラー『アメリカ大都市の生と死』を書き、街の優れた観察者でした。彼女は、街が元気であるためには、人々の活動が街に高密度に詰め込まれていることが大切である、と考え、そのために必要な街づくりの条件を明らかにしました。同書では、昼夜、街路を通行人が行き交うか、あるいは近隣の知り合いが立ち話をしている街(人の眼がある)は安全である、と書いていました。しかし、COVID-19以来、SFのダウンタウンでは、それと真逆のことが起きています。
第9回「NYが米国初の混雑税導入(3)――車をめぐるNIMBYイズム」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
これまでにニューヨーク市(NY)が導入を計画している混雑税の仕組み、及びそれに対してニュージャージー(NJ)州政府とNYの1区になっているスタテン島が反対の訴訟を起こした話を紹介しました。
NJの訴えは、
NYが混雑税を導入すると州内からNYに向かう車のルートに変化が起き、思わぬところに渋滞が発生する心配があるが、それを含めて十分な環境アセスメント調査がなされていない
ハドソン川を渡る通行料を払っているのに(トンネル、大橋)、混雑税は州民にさらなる負担をかけることになる
の2点です。