住宅遺産トラストが堀部安嗣設計「牛久のギャラリー」の継承者を募集
住宅遺産トラストが、新建築吉岡賞を受賞した建築家・堀部安嗣さんの初期代表作「牛久のギャラリー」の継承者を募集している。以下、建築紹介のウェブページに掲載された設計者・堀部さんのコメント。
◆ 牛久のギャラリーについて
角地の特性を生かし、南から東に抜けられる路地のような中庭をつくり、それを囲むコの字形の平面にギャラリー、アトリエ、住居の三つのスペースを配置している。それぞれは独立しつつも、中庭を介してつながりを得ている。また、普通はギャラリーの窓を最小限に抑えるものだが、ここではギャラリーが街につながることを意図し、中庭側に住居部分と同じリズムで開口部を設けた。その開口部には簾戸を設け、光の具合を調整できるように考えている。大きく街に開いた南側は、道行く人をギャラリーへと誘うパブリックなエントランスとなっている。2階の住居への動線は2通りあり、一つはギャラリーに隣接する玄関の階段を使う動線、もう一つはアトリエの螺旋階段でロフトに上がり、バルコニーから入る動線である。住居の中庭側の開口部には、ガラス戸と簾戸のほかに障子も配置。この設計では開口部のあり方と外部環境の取り込み方のスタディを重ね、その後の設計にもその考え方が活かされている。新建築吉岡賞を受賞した自身の初期代表作である。
竣工から現在までオーナーが変わることなく、オリジナルの状態で丁寧に住み続けられてきたが、継承にあたってギャラリーを他の幅広い用途に転用・活用する可能性も考えらえる。堀部安嗣(設計者)
貴重な技術や空間を有しつつも、様々な事情により失われつつある優れた住宅建築:住宅遺産を継承すべく活動している住宅遺産トラスト。昨年は「VILLA COUCOU」(吉阪隆正+U研究室/1957年)をはじめ3件の住宅を継承させた。
「牛久のギャラリー」のほかに、昨年12月から「増田夫妻のアトリエ(アトリエNo7)」(白井晟一/1959年)も継承者がさがされている。
詳細はこちら
堀部安嗣設計「牛久のギャラリー」
(2022/01/21|住宅遺産トラスト)
https://hhtrust.jp/hh/ushiku.html
白井晟一「増田夫妻のアトリエ(アトリエNo7)」継承者を探しています
(2021/12/16|住宅遺産トラスト)
https://hhtrust.jp/hh/masuda.html