図解ニッポン住宅建築
建築家の空間を読む


尾上亮介・竹内正明・小池志保子 著

内容紹介

戦後日本名作住宅の設計手法がまるわかり!

戦後から現代まで、名作とされる住宅59作品についてコンセプトを明確に提示し、力強いイラストと図面を用いてポイントをわかりやすく解説。住宅を設計する際に必要となる空間の読み解き方について、建築家の手法を探る。また、時代背景とともに年代ごとに取り上げており、戦後60年の日本住宅の変遷も学ぶことができる。

体 裁 B5変・160頁・定価 本体2800円+税
ISBN 978-4-7615-2422-7
発行日 2008-02-10
装 丁 河野 綾

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目次著者紹介はじめにおわりに読者レビュー

はじめに

1章 1950年代

戦後復興と近代建築の根付き

50-01 森博士の家──清家 清 〈住まいの秘訣は「しつらい」にあり〉
50-02 Oさんのすまい──林 雅子 〈「個」と「家族」の生活を同時に手に入れる〉
50-03 コアのあるH氏のすまい──増沢 洵 〈徹底的な合理性を実現するコア・システム〉
50-04 住居──丹下健三 〈日本的なものと近代建築が同居する〉
50-05 岡本太郎のアトリエと住まい──坂倉準三 〈流動的な空間は芸術の源となる〉
50-06 浦邸──吉阪隆正 〈浮き上がる2つのボリューム〉
50-07 大森の小住宅──堀口捨己 〈居室としての庭〉
50-08 栗の木のある家──生田 勉 〈家族と個人の生活の場を分けつつまとめる庭〉
50-09 石津邸──池辺 陽 〈都市で連続して住むために〉
50-10 スカイハウス──菊竹清訓 〈夫婦を中心とした住むための装置〉

COLUMN 1 建築メディアを探ろう

2章 1960年代

近代建築の発展と世代交代

60-01 SH-30──広瀬鎌二 〈工業化住宅の機能性と有機性〉
60-02 ラムダハウス──山口文象 〈空間構成の妙による機能の分化〉
60-03 正面のない家──西澤文隆 〈住まいの構成を再構築するコートハウス〉
60-04 軽井沢の山荘──吉村順三 〈森のなかに住む家〉
60-05 サニーボックス──藤木忠善 〈都市のなかの開放された住まい〉
60-06 N邸──磯崎 新 〈光の操作による空間演出〉
60-07 呉羽の舎──白井晟一 〈共鳴する水平性と垂直性〉
60-08 白の家──篠原一男 〈白い空間、象徴的な柱、そして大屋根〉
60-09 塔の家──東 孝光 〈都市にたたずむ前衛的な住まい〉
60-10 金子邸──高須賀 晋 〈光庭に開かれたロの字型の住まい〉

COLUMN 2 書物で学ぼう

3章 1970年代

近代建築の終焉と現代建築の萌芽

70-01 ブルーボックスハウス──宮脇 檀 〈シンプルでファショナブルなキューブ〉
70-02 反住器──毛綱毅曠 〈入れ子構造の住宅〉
70-03 原邸──原 広司 〈外部を内部に持ち込む〉
70-04 ドーモ・セラカント──象設計集団 〈形態に込められた建築空間の力〉
70-05 私の家──阿部 勤 〈まちに参加する住宅〉
70-06 松ヶ崎の家──吉村篤一 〈田園住宅〉
70-07 目神山の家1──石井 修 〈すべてが自然としての家〉
70-08 住吉の長屋──安藤忠雄 〈現代の都市住居としての長屋〉
70-09 ホシカワ・キュービクルズ──黒沢 隆 〈個室が集まった住まい〉
70-10 GOH7611──鈴木 恂 〈コンクリート壁で構成される開放性〉

COLUMN 3 都市を楽しむ

4章 1980年代

多様化する建築表現とテーマパーク化する都市

80-01 塚田邸──六角鬼丈 〈すべての中心に丸太がある〉
80-02 光格子の家──葉 祥栄 〈光のグリッドに覆われた住宅〉
80-03 修学院の家──高松 伸 〈象徴的な形態としての住宅〉
80-04 積木の家Ⅲ──相田武文 〈積木遊びからの建築〉
80-05 シルバーハット──伊東豊雄 〈軽やかに浮かぶ屋根の下で〉
80-06 東玉川の住宅──長谷川逸子 〈 ガランドウを持つ都市住宅〉
80-07 緑が丘の住宅──竹山 聖+アモルフ 〈都市環境の〇と×を選択した住宅〉
80-08 HOUSE F 1988──坂本一成 〈大屋根に覆われた住空間〉
80-09 中山の家──村上 徹 〈外部環境と一体化する幾何学形〉

COLUMN 4 都市の変化を発見する―買い物空間

5章 1990年代

建築の新たな展開としてのプログラム論

90-01 日本橋の家──岸 和郎 〈狭い間口をタテに住む〉
90-02 岡山の住宅──山本理顕 〈進化したコートハウス〉
90-03 NOS-h──石田敏明 〈透明な箱と閉じた箱〉
90-04 住居No.14──内藤 廣 〈回廊という中間領域〉
90-05 ドラキュラの家──石山修武 〈夜行性ライフスタイル〉
90-06 タンポポハウス──藤森照信 〈自然素材の使い方〉
90-07 トウフ──玉置 順 〈バリアのない関係〉
90-08 大田のハウス──西沢大良 〈室内に風景をつくり出す〉
90-09 ウィークエンドハウス──西沢立衛 〈拡張する中庭〉
90-10 ミニ・ハウス──アトリエ・ワン/塚本由晴+貝島桃代 〈住宅地でのたたずまい〉

COLUMN 5 家を体験する

6章 2000年代

建築におけるスーパーフラットと場所性

10-01 c──青木 淳 敷地はL
10-02 矩形の森──五十嵐 淳 〈均質なる豊かさ〉
10-03 黒の家──千葉 学 〈吹抜が交差するとき〉
10-04 屋根の家──手塚貴晴+手塚由比 〈屋根の上のリビング〉
10-05 101番目の家──竹原義二 〈隙間と素材がつくり出す奥行き〉
10-06 SPRINGTECTURE びわ──遠藤秀平 〈コルゲート鋼板のスプリング〉
10-07 ヒムロハウス──小嶋一浩 〈機能性と偶発性の空間〉
10-08 此花の長床──中村勇大 〈大屋根のあるテラス〉
10-09 梅林の家──妹島和世 〈窓の向こうの部屋〉
10-10 T house──藤本壮介 〈間仕切りのカタチ〉

COLUMN 6 建築で目覚める

おわりに

尾上亮介

1968年生まれ。2002年大阪芸術大学大学院博士後期課程修了。現在、尾上計画事務所主宰。舞鶴工業高等専門学校建設システム工学科准教授

竹内正明

1973年生まれ。2005年京都工芸繊維大学工芸科学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、ウズラボ一級建築士事務所共同主宰。京都造形芸術大学通信教育学部非常勤講師

小池志保子

1976年生まれ。2000年京都工芸繊維大学工芸科学研究科博士前期課程修了。現在、ウズラボ一級建築士事務所共同主宰。大阪市立大学居住環境学科助手

イラスト

野村 彰

本書では、建築家の創造した空間や設計のアイデアを、事例を通じて知ることができる。その対象となるのは、1950年代から現在までに建築家が設計した住宅建築59作品である。

戦後モダニズム建築の代表作や新進気鋭の建築家による住宅、これらがどのような空間としてつくられているのか、ということを図面やイラストを使って具体的に説明している。事例研究のアーカイブとして利用すれば、設計をする際の考えるきっかけとなる。また、歴史に沿ってはじめから読む、気になる作品をピックアップして読む、という具合に、2通りの読み方を楽しむこともできる。

住宅設計とは、敷地や周辺環境、クライアントからの要求、法規など、様々な条件をまとめ、それらを総合的に判断し、機能的で快適な空間を成立させる作業である。なかでも、様々な条件を具体的な空間やカタチへと展開していく過程は、設計においてもっとも楽しくダイナミックな作業のひとつといえる。

とはいえ、学校の課題や仕事の現場において実際に設計を進めていくと、アイデアを具体的な空間としてうまく展開できないことが多い。そのような場合の有効な解決方法のひとつに事例研究がある。過去の建築作品をひも解くことで、設計のアイデアや空間への展開方法など、多くの知識と方法論を得ることができる。

しかし、事例研究はなかなかたいへんな作業である。なぜなら、初学者にとって、やや高度な知識が必要となるからだ。例えば、空間の特性や敷地環境が自分の求めるものと合致した事例であるのか、ということを判断しなければならない。また、図面や写真から、住宅作品のコンセプトやプランニングのポイントを読み取る能力も求められる。もっとも厄介なのは、参考となる情報を膨大な資料のなかから探さなければならず、多くの時間と手間がかかる、ということだ。

そこで、本書は住宅設計の初学者でも効率よく事例研究を行えるように工夫した。まず、住宅建築の知っておくべき事例として50年代から現在までに設計された代表的な住宅作品を、年代ごとに並べており、建築家のデザインした住宅建築の歴史的変遷を、その時代背景とともに概観できるようになっている。

次に、各作品の空間特性を、「外に開こう」「中庭をつくろう」「環境に溶けこもう」「都市に住もう」「曖昧につなげよう」「ボリュームで考えよう」「領域を分けよう」「生活から組み立てよう」「造形にこだわろう」という9つに分類した。この分類により、関連する作品を容易に参照できるようになっている。

さらに、文章だけではなく、図面やイラストを活用して、視覚的に作品の内容が理解できるようになっている。見開き1ページにひとつの住宅を載せ、情報過多とならないように敢えて掲載図面を厳選し、図面数を最小限にとどめた。さらに図面には、設計意図がプランニングとしてどのように落とし込まれたのか、ということを書き込んでいる。この書き込みが、図面の読み取り方を学ぶ手がかりとなるだろう。

なお、本書では事例研究という側面を重視し、作品の図面、文献などをもとに、著者の責任において独自の判断で作品を分析した。また、今回提示した空間特性の分類や書き込みは、決して絶対的なものではない。むしろ、読み進めていくうちに、読者の方で違う共通点を発見することもあるだろう。空間特性の分類やイラスト、図面への書き込みをきっかけに、住宅建築についての議論を多いに発展させてほしい。

建築を学び始めた学生、設計事務所の新人所員、住宅に興味のある一般の方などにとっては、本書が住宅の様々な事例に触れるきっかけとなるだろう。また、建築の専門家には、時間軸を意識しながら、住宅建築を巡る旅を楽しんでもらえるのではないだろうか。本書を活用することが、読者の皆さんに新たな発想を与えて、次への展開を考える一助となれば幸いである。

図書館の膨大な資料を前にして、呆然としたことはないだろうか。建築専門誌のバックナンバーをめくりながら目当ての建築を探す、その途方もない作業に疲れ果てて挫折したことはないだろうか。

過去の建築事例を研究するためには、とにかく時間と根気が必要である。しかし、建築を設計するうえで、事例研究は欠かすことのできない作業である。なぜなら、過去の事例を知ることで、建築に対する評価軸がはっきりするとともに、歴史的な視点から提案の新しさを考えることができるからだ。

本書には、多大なエネルギーを要する事例研究という作業を、効率的に、そして効果的に行うためのヒントが書かれている。設計の際のアーカイブとして本書を活用すれば、住宅建築の奥深さの一端に触れることができるだろう。また本書は、戦後日本における住宅建築の年代記としても読むことができる。何となく単発では知っていた住宅建築に対して、時代のなかでのつながりを見つけ、そのおもしろさを楽しんでいただけるだろう。

本書が出来上がるまでに、多くの方々にお力添えをいただいた。

まず、お忙しいなか本書の掲載内容をご確認いただいた建築家の方々には、多大なる感謝を述べたい。本書の内容に至らぬ部分があるとすれば、それはすべて著者の責任によるものである。デザインは、著者が以前に勤めていた職場の同僚である、グラフィックデザイナーの河野綾さんにお願いした。著者の思いつきやわがままにも真摯に対応し、本書の意図を明確に表現するデザインをご提案いただいた。建築と建築家のイラストを描いたのは野村彰さんである。著者からの多くの注文を忠実に受け入れ、なおかつ著者の想像を超える力作を仕上げてくださった。帯の推薦文は、ぽむ企画のたかぎみ江さんにお願いした。時代の空気を敏感に読み解く感性で、本書の内容を端的に言い当ててくださった。編集をご担当いただいた学芸出版社編集部の中木保代さんには、多くの迷惑をかけた。彼女の絶妙な手綱捌きが心地よいプレッシャーとなり、本書を完成にまで導いたのは言うまでもない。この他にも、数多くの方々のご厚意に支えられて本書を上梓することができた。この場を借りてお礼申し上げたい。

みなさん、本当にありがとうございました。

2008年1月吉日
尾上亮介/竹内正明/小池志保子

これは建築家のあたまの中を解説した貴重な図鑑です。

一般に建築家の設計する家はへんな形だと思われがちですが、そして実際へんな形のものも多いですが、「なぜあんな形なのか」をこの本は読み解いてくれます。
豊かな住まいとは何か?家族のあり方とは?

建築家がそんな難解な問いと真正面から格闘した成果があの形なのだと、納得できることと思います。

デザイン学生さん、家づくりを考えている人、戦後日本の社会をふり返りたい人、いろんな人におすすめします。

イラストがすてきなので、2冊買って1冊はぬりえにしましょう。

(ぽむ企画/たかぎみ江)

担当編集者より

つくり手と住み手の想い、様々な条件のもとにつくられる住宅。建築家の名前や作品名はわかってても、実際にどのような住宅なのか意外と知らないこともあるでしょう。

名作とされる住宅で、建築家たちは与条件をどのように読み解き、形にしているかが一覧できます。

戦後から現代まで、時代背景に思いを馳せながらたどるのもよいですし、コンセプトごとの分類もされているので、それぞれの建築家が出した回答を見比べるのもよいでしょう。

図面の読み解き方が具体的に示されているので、住宅設計の入門にあたり役立つ一冊です。

(N)

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