連載「欧州ランドスケープ探訪」vol.7|ヘルシンキ:国のアイデンティティとなる岩と森のランドスケープ ヘルシンキは他のヨーロッパの都市と比べると街が小さい。中央駅から20分も歩けば、街の端にある港に着き、巨大な岩と森が残る島々を海の向こうに臨むことができる。氷河期から残る岩石と、金色に輝く草原や森は、街の中にも点在している。アパートの間に巨大な岩が横たわっているのを見つけることもあった。百万人を超える人が住んでいるが、どこか自然との近さを感じる可愛い街だ。 2023年2月20日 / 最終更新日時 : 2023年2月21日 学芸出版社 欧州ランドスケープ探訪
連載「欧州ランドスケープ探訪」vol.6|ベルリン:エコロジカルな公園とドイツ哲学 ドイツは世界的に環境先進国として知られている。都市計画分野では、自然エネルギーを使った発電システムや、原生自然の保護地域の設定、都市開発の地域生態系への影響がよく議論される。電車で郊外に出ると、風力発電のタービンを大量に見かけるが、国としてエネルギー問題に真剣に取り組んでいるのをよく感じる。 2022年12月16日 / 最終更新日時 : 2022年12月21日 学芸出版社 欧州ランドスケープ探訪
連載「欧州ランドスケープ探訪」vol.5|ミラノ:所有する緑に感じるルネサンス イタリア人の同僚とミラノでの旅の話をしていた時、イタリアは他のヨーロッパの国々に比べて公園の数が少なく、憩いの場として公園を求める意識が薄いことに話題が及んだ。イタリアの多くの都市は他の国の都市と比べると小さく、街のすぐ隣に山や海などの自然があることが多い。特にシチリアなどの南部では主要産業が農業や漁業等の一次産業であり、日頃から自然に触れる生活が定着している。わざわざ都市内の公園で人工的な自然に触れる必要がないのだ。 2022年11月7日 / 最終更新日時 : 2022年11月8日 学芸出版社 欧州ランドスケープ探訪
連載「欧州ランドスケープ探訪」vol.4|コペンハーゲン:幾何学の中にみる落ち着いた暮らしの景色 コペンハーゲンの庭園や公園、建築、都市の形には、幾何学がたくさん見られる。例えば、〈カステレット要塞〉は防御に適した星形をしており、バイキングや他国の攻撃から街を守った。それと同時期、17世紀初頭に造られた〈キングスガーデン〉は平面幾何学様式の庭で、〈ローゼンボー城〉への軸線を意識したプロムナードや、幾何学模様の植物が植えられたカーペットガーデンを見ることができる。 2022年10月11日 / 最終更新日時 : 2022年10月12日 学芸出版社 欧州ランドスケープ探訪
連載「欧州ランドスケープ探訪」vol.3|パリ/ヴェルサイユ:庭園の歴史を汲む装飾的な公園 5月にパリを訪れ最初に感じたことは「華美な街だ」ということだった。建物の壁には唐草模様の装飾がなされ、バルコニーは優雅な曲線の柵で飾られている。装飾を削ぎ落とし、生活に必要な機能を与える形の先に美を見出すドイツ、バウハウスの考え方が色濃く残るドイツの景色とあまりに違い少し面食らった。 2022年9月12日 / 最終更新日時 : 2022年10月12日 学芸出版社 欧州ランドスケープ探訪
連載「欧州ランドスケープ探訪」vol.2|ハンブルク:巨大建築の都市を縫うヴォイドがもたらす秩序 ハンブルクはドイツの北部の港湾都市だ。古くから欧州における貿易の中心地で、裕福な商人が集まる街である。商人たちは貴族や教会と闘い徐々に政治的な力を獲得していき、関税や経済に関する特権を得てますます裕福になっていった。そして、地方領主や司教により政治的に支配されない、皇帝直属の自由都市としての地位を獲得した。この商業と自由の歴史は、欧州の中でも稀有であり、ハンブルク市民の誇りである。・・・ 2022年8月8日 / 最終更新日時 : 2022年10月12日 学芸出版社 欧州ランドスケープ探訪
連載「欧州ランドスケープ探訪」vol.1|ヴェネツィア:水の都を覆う迷路とゴールとしての広場 2022年2月上旬、イタリアのヴェネツィアを訪れた。 「水の都」として有名な街であるヴェネツィアは、5〜6世紀に蛮族に追われた北イタリアの人々が干潟に杭を打ち、その上に煉瓦造りの建物を造ったのが街の始まりだと言われている。… 2022年7月6日 / 最終更新日時 : 2022年11月5日 学芸出版社 欧州ランドスケープ探訪
連載「欧州ランドスケープ探訪」vol.0|ランドスケープの源流を求める旅へ 幼少期に触れた自然がきっかけで「ランドスケープアーキテクト」を目指してきた私は現在、ドイツのベルリンに拠点を置くとある設計事務所で、その職に就いている。ランドスケープアーキテクトの仕事は、主に庭や公園、広場を設計することである。ニューヨークの〈ハイライン〉のような新しい形の公園が注目を集めたり、再開発によってパブリックスペースのデザインが生まれ変わったりする中で、認知される仕事になりつつある。… 2022年7月6日 / 最終更新日時 : 2022年10月12日 学芸出版社 欧州ランドスケープ探訪