公共のエスカレーター・エレベーターは都市のラストワンマイル問題を解決するか? スペインの港湾都市ビーゴの場合

  • スペイン北西部に位置する大西洋に面した港湾都市・ビーゴ(Vigo)で、住民の通勤や買い物などの日常生活にかかわる移動をエレベーターやエスカレーターなどの設置によって支援しようとする取り組みが進んでいる。
  • ビーゴは約40万人が暮らす同国第6の都市だが、起伏に富んだ山がちな地形のなかに市街地が無秩序に広がっているせいもあり、公共交通機関の整備が限定的で、自家用車の利用が主流。一方で買い物や通勤・通学、教会通いなどのために、丘沿いの道を2km以上遠回りして歩いたり、階段で50mの高低差を上り下りすることを日常的に強いられる住民も多い。自宅から目的地までの移動手段が乏しい、いわゆる「ラストワンマイル」問題が課題となってきた。
  • こうしたことからここ数年、ビーゴでは “Vertical Vigo” と題された行政主導の都市開発戦略が推進されてきた。
    この戦略の一つとして実施されているのが、住宅地と買い物やコミュニティの拠点を公共のエレベーターやエスカレーター、電動歩道(いわゆる「動く歩道」)などでつなぎ、日常生活における移動上の障壁を取り除こうという試み。
  • この取り組みを推進してきたビーゴ市のAbel Caballero市長は、「Vertical Vigoは空間の再生を促す戦略です。都市をよりコンパクトにし、これまでつながってこなかったエリア同士をつなげつつあります。自動車やバスなら山沿いをくねくねと走行して上り下りしなければならないところが、垂直的な移動が可能になることによって、かかる時間は大幅に短縮できるのです。山の両側や約3km程度の道のりをつなぐべく整備しているエレベーターやエスカレーターのネットワークによって、近い将来、そうした移動に自動車やバスを利用する必要はなくなるでしょう」などと述べている(下記ツイートは同市長が整備された動く歩道を視察した際の様子)。

  • なおVertical Vigoは、ビーゴ市が欧州地域開発基金(ERDF)との共同出資で展開しているもの。下記の4つの目標(抄訳)のもとで推進されている。
    • 情報通信技術へのアクセスや利用、質の向上を図り、さらに横断的に利用することで、持続可能でスマートな都市開発につなげること
    • すべての産業で低炭素経済への移行を支えること
    • 環境の保全・保護と資源の効率化を推進すること
    • 社会的な包摂を推し進め、貧困やあらゆる差別と闘い、ジェンダーの視点も考慮しながら貧困地域のコミュニティ再生を支援すること

Cover Image: courtesy of CONCELLO DE VIGO

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Can escalators and elevators solve the last-mile problem?

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