新型コロナウイルス感染拡大により今後の都市計画に求められる5つの視座 アメリカの学際機関による提言記事

  • アメリカ・ワシントンD.Cに拠点を置く学際機関「世界資源研究所(World Resources Institute)」が、新型コロナウイルスの爆発的な感染状況が今後の都市計画に与える影響について考察した記事を公開(以下、抄訳)。
  • 都市計画は常に、その時々で抜きんでた文化や技術の潮流や、大規模な危機的状況を反映したものだ。19世紀のコレラの感染爆発、工業化、鉄道網の整備、自動車の普及――最近ではデジタル化やデータが、都市における人々やコミュニティの移動のありようを変えている。
  • COVID-19のパンデミックは都市生活を激変させている。近い将来、都市計画にもたらされる影響を考える上で以下の5つの視座が鍵になる。
1:コアサービスの利便性への着目

都市中心部での感染拡大は、都市における健やかな密度のありかたに疑問を投げかけている。ただ、都市が経済的・文化的・政治的な中心地たりえるのは、第一に人々が寄り集まっているためである。これは、水道や住居、医療といった都市サービスを効率的に供給するための前提条件でもある。都市におけるサービスの格差解消を優先しなければいけない。

2:手の届くような住まいや公共空間

十分な公共空間や手ごろな住まいの供給がないまま人々が密集することは様々な問題につながる。アフリカやアジアなどでは現在でも12億人が手ごろで安全な住居のない環境で都市生活を送っているとみられる。社会的距離確保のための臨時的な措置にとどまることなく、手ごろな住まいと公共空間に人々がアクセスできるようにする長期的な変革も必要だ。例えば、無秩序につくられた貧しい集落等を適正な形に整備することなどが考えられる。

3:緑や水辺空間への統合的なアプローチ

COVID-19によるロックダウン下で求められた空間のひとつが、都市の公園だった。オープンスペースや水辺、森林、公園といった空間を都市計画の中心に据えるアプローチが求められるだろう。人工のものだけでなく、緑や水にかかわるインフラを統合的に計画することで、より健やかな水資源の管理が可能になり、災害由来の疫病の抑制にもなる。また、より広いオープンスペースを都市構造に組み込むことは、避難など緊急時に求められる対応の一助となるだろう。

4:都市と地方を一体的に考える計画の加速

都市部の危機は、それを取り巻く地方部の生産・供給網にも打撃を与え、地球規模に拡がる。エネルギー供給や交通網、食料生産などに関して、都市と地方を一体的に考える計画が求められている。都市と地方を結ぶネットワークが、不測の事態で弱点となるのではなく、むしろ柔軟に対応するための核となるようにしなければならない。

5:都市単位で粒度の高いデータのニーズ

現在、データは主に国レベルで集計されているが、感染症の拡大防止のための意思決定の多くは特定の地域レベルでなされる。エビデンスに基づいたより良い判断を下すためにも、より粒度が高く、常に更新されるデータ環境を都市が備えなければ、ビッグデータを活かすことはできない。また、住民団体や学術機関、民間企業や意識の高い市民らと協働して、地域の状況を反映したより広範なデータセットを構築する取り組みも必要だ。

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How Will COVID-19 Affect Urban Planning?

2020/04/10/TheCityFix

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