建築物省エネ法などの改正案が閣議決定 すべての新築住宅・非住宅に2025年省エネ基準適合を義務付けへ

政府が22日、建築物の省エネ化や木材利用の促進を図ることを目指した法案「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定した

この法案は、建築物分野で省エネ対策を加速しつつ、木材利用を促進することにより温室効果ガスの吸収源対策の強化を図るもの。建築物省エネ法・建築基準法・住宅金融支援機構法・建築士法の改正を含む内容になっている。

改正法案の柱は4つ。

1つ目の柱は、省エネ性能の底上げとより高い省エネ性能への誘導だ。

現在、建築確認(省エネ適判)や完了検査において、省エネ基準への適合等の審査が義務付けられているのは、中大規模の非住宅のみ。この対象が、2025年度からすべての新築住宅・非住宅に拡大される。このほか、いわゆるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)といった、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物への誘導などが図られる。

2つ目の柱は、ストックの省エネ改修や再エネ設備の導入促進だ。

住宅金融支援機構による、省エネ改修に対する低利融資制度を創設するほか、市町村が定める再エネ利用促進区域内では建築士から建築主に対して、再エネ導入効果の説明義務を課すなどする。

3つ目の柱は、防火規制の合理化だ。

大規模建築物について、大断面材を活用した建物全体の木造化や「区画」を活用した部分的な木造化を可能とする。また、防火規制上、従来は耐火構造とする必要があった低層部分について別棟扱いとして木造化することを可能とする。

4つ目の柱は、構造規制の合理化だ。

二級建築士でも行える簡易な構造計算で建築可能な3階建て木造建築物を、高さ13m以下から16m以下に拡大することなどを予定している。

政府は2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)実現、2030年度の温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指しており、達成のためには、エネルギー消費の約3割、木材需要の約4割を占める建築物分野における取り組みの強化が急務とされる。

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