建築物の省エネ設計技術

「建築物の省エネ設計技術」編集委員会 著/大阪府 監修

内容紹介

2020年までに進められる建築物の省エネ基準適合義務化を見据え、建築実務者はどう対応すべきか。本書では、省エネの動向を踏まえ、技術と設計手法、効果をフルカラーでビジュアルに解説するとともに、住宅から超高層ビルまで、最新技術を取り入れた事例を掲載。適合判定申請に必要な情報をまとめた手引書にもなっている。

体 裁 B5変・192頁・定価 本体3200円+税
ISBN 978-4-7615-3231-4
発行日 2017/05/01
装 丁 フルハウス


目次著者紹介まえがき正誤情報

第1章 省エネルギー性能に優れた建築事例

1 大成建設 技術センター ZEB実証棟
2 ダイキン工業 テクノロジー・イノベーションセンター
3 清水建設本社
4 浜松信用金庫 駅南支店
5 京都銀行 東長岡支店
6 あべのハルカス
7 足利赤十字病院
8 立命館大学 大阪いばらきキャンパス
9 大和ハウス工業 奈良工場第1工場棟
10 千里山団地(UR賃貸住宅)
11 晴美台エコモデルタウン
12 南禅寺の家
13 大阪ガス 北部事業所
14 大阪府立中央図書館

建築事例における省エネ技術の活用一覧

第2章 建築物の省エネルギーに関する制度

1 建築物省エネ法

2-1-1 建築物省エネ法制定とその背景
2-1-2 省エネ基準適合義務化
2-1-3 諸外国と我が国の省エネ基準
2-1-4 住宅の断熱性能向上に係る動向
2-1-5 建築物省エネ法の構成
2-1-6 省エネ適合性判定制度
2-1-7 省エネ性能表示制度

2 非住宅建築物の省エネ基準

2-2-1 非住宅建築物の省エネ基準の構成
2-2-2 一次エネルギー消費量の算出方法
2-2-3 モデル建物法の構成
2-2-4 モデル建物法の入力方法

3 住宅の省エネ基準

2-3-1 住宅の省エネ基準の構成
2-3-2 外皮性能基準
2-3-3 一次エネルギー消費量基準
2-3-4 仕様基準の概要

第3章 建築物の省エネルギー技術

0 省エネルギー技術活用の留意点

1 外皮性能向上技術

3-1-1 建物配置計画
3-1-2 断熱材料
3-1-3 断熱(RC造・鉄骨造)
3-1-4 住宅の外壁断熱(木造・鉄骨造)
3-1-5 住宅の屋根・天井断熱(木造・鉄骨造)
3-1-6 高反射率化
3-1-7 建築物緑化
3-1-8 開口部の省エネ性向上
3-1-9 ダブルスキン
3-1-10 日射制御
3-1-11 非住宅の開口部
3-1-12 住宅の開口部

2 空気調和設備

3-2-1 タスクアンビエント空調
3-2-2 中央熱源機器(電気)
3-2-3 中央熱源機器(ガス)
3-2-4 個別分散空調(電気)
3-2-5 個別分散空調(ガス)
3-2-6 住宅の空調
3-2-7 床暖房
3-2-8 蓄熱設備
3-2-9 搬送エネルギー低減Ⅰ(VAV・VWV)
3-2-10 搬送エネルギー低減Ⅱ(他の方式)

3 換気設備

3-3-1 自然換気・通風
3-3-2 全熱交換器
3-3-3 外気取入制御
3-3-4 デシカント空調機
3-3-5 住宅の換気

4 照明設備

3-4-1 自然採光
3-4-2 LED照明
3-4-3 照明制御・タスクアンビエント照明

5 給湯設備

3-5-1 潜熱回収型給湯器(住宅用:エコジョーズ、業務用:タフジェット)
3-5-2 ヒートポンプ式給湯機(エコキュートなど)
3-5-3 配管保温・節湯器具

6 エネルギー効率化設備

3-6-1 太陽光発電・蓄電池
3-6-2 太陽熱温水器
3-6-3 コージェネレーション
3-6-4 住宅用コージェネレーション(エネファーム、エコウィル)
3-6-5 未利用エネルギー

7 その他

3-7-1 昇降機
3-7-2 高効率変圧器
3-7-3 ESCO
3-7-4 BEMS・HEMS
3-7-5 機器の遠隔監視
3-7-6 ZEB(ゼブ)
3-7-7 ZEH(ゼッチ)

用語解説

「建築物の省エネ設計技術」編集委員会 著

近本智行/立命館大学理工学部建築都市デザイン学科教授
濵田 徹/(公社)大阪府建築士会
三浦尚志/国立研究開発法人建築研究所
岩岸克浩/(公社)大阪府建築士会
大槻卓也/大和ハウス工業㈱ 総合技術研究所
木虎久隆/関西電力㈱お客さま本部計画グループ
小宮山研二/㈱竹中工務店大阪本店設計部
斉藤昌生/パナソニック㈱エコソリューションズ社
白木一成/大阪ガス㈱エネルギー事業部ビジネス戦略部
髙橋 彰/日本ERI㈱省エネ推進部
髙橋直樹/㈱日建総合研究所
田邊陽一/大阪府住宅まちづくり部公共建築室
野中俊宏/㈱LIXIL R&D本部
野村浩之/㈱大林組大阪本店建築事業部
濱田大洋/(公社)大阪府建築士会
平島重敏/旭硝子㈱ガラスカンパニービルディンク産業事業本部
松場英樹/ダイキン工業㈱空調営業本部
三喜田順彦/大成建設㈱関西支店

公益社団法人大阪府建築士会 編集

2015 年COP21 で採択された「パリ協定」(先進国に加え、発展途上国を含む全ての国が地球温暖化に取り組む初めての枠組み)は2016 年にはわずか1年弱で発効し、建築物における省エネルギーのみならず、脱炭素に向けた動きが世界で加速しています。年間の一次エネルギー消費量が正味でゼロ又は概ねゼロとなる建築物「ZEB」の推進も頻繁に議論され、各社で取り組みが進められています。一方で、現在ではパイロットプロジェクトとして進められているものが多いのが実情です。

2015 年7 月に公布された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)の完全施行がこの4 月から始まりました。2,000m2 以上の特定建築物では省エネ性能の基準適合は義務化、また300m2 以上の住宅や建築物でも省エネ性能を満たしていない場合、改善の指示・命令を受けることとなりました。一部の率先的な取り組みだったものが、建築全体のデザインプロセスとして普及してゆくことが求められています。このため本書では、建築に携わっている建築家・施工者・技術者などの実務者、これから建築を学ぶ学生に、実践的に役立つことを意図しています。

建築学の起源として、紀元前後に書かれた「ウィトルーウィウス建築書」が挙げられます。この書では明確に技術論が展開され「制作」と「理論」の双方に重点が置かれています。建築は、技術を学ぶと同時に、実際の設計・施工、更には運用までを実践し、体得してゆくことが必要です。興味を持って、基礎的な学問、広範囲な知識を吸収しながら、導入・運用のみならず、その応用までも同時に考えることが重要と思います。

本書ではまず第1章で実際に省エネルギー技術を導入した建築事例を解説し、第2章で省エネルギー技術に関する制度、第3章で個々の省エネルギー技術を解説し、多角的に学ぶことのできるよう図っています。既に省エネルギー・環境配慮技術を採り入れた設計・施工・運用に携わっておられる、またはこれから考えてみようと考えておられる建築家・技術者のみならず、実際に施設を利用されている方々や、これから建築を学ぶ学生にも是非本書を手にとって頂き、技術を学ぶだけでなく、それらを使うことを意識しながら建築のあり方を少しずつ考えてもらえれば幸いです。

さて本書の作成にあたっては、実務を行いながら作業に携わって頂いた「建築物の省エネ設計技術編集委員会」委員及び執筆者の皆様、膨大な作業を厭わず実施頂いた大阪府建築士会、監修をして頂いた大阪府など多くの方々にご尽力を頂きました。ここに厚くお礼申し上げます。

2017 年4月
立命館大学理工学部教授
サステイナビリティ学研究センターセンター長
近本智行

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