「自家用車の非所有者に年間1,100ユーロ支給を」ベルリンの非営利団体が公共交通利用を促すインセンティブとして提案
環境・モビリティ政策を専門とするドイツ・ベルリン拠点の非営利団体 “Changing Cities” と “Institute for Urban Mobility” が、自家用車を所有していないすべての住民に対し年間1,100ユーロ(約14.3万円)支給する政策「フリー・ストリート・ボーナス」を提案している。
これは自動車利用から公共交通機関利用への転換を促そうとするもので、同団体によると、実現すれば道路を走る自家用車は少なくとも6万台減少。
支給額は、ベルリン市交通局(BVG)の年間チケット料約1,000ユーロ(約13万円)を念頭に置いたもので、必要となる費用総額は約10億ユーロ(約1,302億円)。財源は「CO2価格からの収入」で賄えるとしている。
ベルリンでは約120万台の自動車が登録されているが、交通政策研究者でベルリン社会科学センター教授のアンドレアス・クニー氏によれば、自動車所有者の約半数は、自動車なしでも生活が可能と推定されている。
一方でドイツ連邦統計局によれば、2000年から2018年の間に自動車の購入や維持にかかる費用は36%しか上昇していないのに対し、バスや電車といった公共交通機関の運賃は約79%上昇。自家用車の利用にかかる費用は、公共交通機関の利用と比べ相対的にまだ安い状態にある。
こういったコスト面に加え、ドア・ツー・ドアのシームレスな移動という自家用車の強みに対し公共交通機関がどこまで競争力を高められるかが脱自動車に向けた課題といえる。
今回の「フリー・ストリート・ボーナス」には、そうしたインセンティブのアイデアの1つとして注目が集まっているが、非所有者への現金支給ではなく、インフラ整備への投資として活用すべきとの声(ドイツ環境庁サスティナブルモビリティ部局のミリアム・ドロス氏)もある。
詳細
€1100 per year for not owning a car?
https://www.berliner-zeitung.de/en/1100-per-year-for-not-owning-a-car-li.170044