アムステルダム市が自転車の安全向上をテーマにアイデアコンペ開催 「自転車道での速度の違い」に着目したソリューション募る
世界有数の自転車利用率を誇るオランダのアムステルダムで、自転車の安全性を向上するソリューションのアイデアを募るコンペティションが実施されている。
これは、アムステルダム市と交通局が組織する「バイシクル・イノベーション・ラボ(Bicycle Innovation Lab)」の企画によるもの。コンペのテーマは「自転車の交通安全と行動」で、特に「自転車道での速度の違い」に着目するアイデアを募集している。
2019年に市が実施した調査によると、アムステルダムでは、市民の28%が交通手段として自転車を選択。自動車(29%)に拮抗し、徒歩(16%)や公共交通機関(25%)よりも人気の選択肢となっている。
行政としても自転車利用の促進には力を入れており、2017年に策定された5カ年の長期計画「LONG-TERM BICYCLE PLAN 2017 – 2022」によれば、期間中に総額で5,400万ユーロ(約70億8,900万円)を投資し、自転車道の拡張をはじめとする走行環境の整備や、駐輪スペースの拡大、そして交通手段としての満足度向上に取り組んでいる。
一方で近年、高速で走行するケースが多い宅配自転車の増加や、販売台数が急増するE-bike(電動アシスト自転車)の普及などにより、特に高齢者を巻き込んだ自転車事故が増加。
オランダ全土を対象とした調査でも、2020年に交通事故で死亡した自転車利用者は229人で、2019年より24人多くなっている。
Image by Statista
募集要項によれば、こうした背景から開催される今回のコンペティションにおけるアイデアは、下記の5点を基準に評価される。
- 妥当性があるか:認識されている問題へのソリューションかどうか
- 革新性と独創性があるか:アムステルダム地域においてどの程度革新的なアイデアか
- 行動を誘引するか:アイデアがどのように人々の行動を変え、自転車交通をより安全なものにするか
- 実現可能性があるか:アムステルダム地域で1年以内にどの程度まで検証可能か。そのために何が必要か。どの程度まで広範に適用できるか
- ポジティブなインパクトを証明できるか:自転車交通の安全性が向上することをどう証明できるか
応募受付はすでに開始しており、締め切りは2月24日。上位10件のアイデアが自転車の専門家らによる審査委員会へのプレゼンテーションに進み、4月11日に受賞者が発表される。
優勝者には賞金2,000ユーロ(約26万3千円)のほか、ソリューションの開発資金最大45,000ユーロ(約593万4千円)とプラン実行の機会が与えられるという。
詳細
参考
- Model split verplaatsingen van/naar/binnen Amsterdam door bewoners per werkdag
- Bereikbaarheid in cijfers
- Number of cyclists killed in traffic in the Netherlands from 1996 to 2020
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Photo by Noralí Nayla on Unsplash