“都市デザインは中立的なものではない”――差別撤廃に向けた取り組みを都市計画家に呼びかけるオープンレター カナダのプレイスメイカーが公開

  • カナダ在住のプレイスメーカー、ジェイ・ピッター氏が、人種的差別撤廃への取り組みを同国の都市計画家らに呼びかけるオープンレター(公開状)を公開した。全文(全18頁。公開状本文は冒頭3ページ)がPDFで公開されている。
  • ピッター氏は、4月にカナダの建築・デザイン誌「AZURE」に寄せた論考 “Urban Density: Confronting the Distance Between”  において、新型コロナウイルス感染症の拡大過程であぶりだされた、貧困層の劣悪な居住環境や過密状況を “forgotten densities“(忘却された密集)と表現。さらに、貧しかったり人種的な差別にさらされたりする人の健康を脅かすこうした状況は、より恵まれた社会的地位に置かれた白人の中流層が都市部の上質な環境に密集すること( “dominant density” :支配的な密集)によって形成されてきたものだと指摘した。
  • この度発表された公開状では、新型コロナウイルス感染症による死亡率において、白人よりも黒人(アフリカ系アメリカ人)のほうが3倍高くなっているという統計や、公共空間で黒人の生命が脅かされる事態が相次いでいることなどに触れたのち、「黒人への差別は空間的に根深いものであり、土地利用や施設利用、公共空間の供用、安全な道路や移動、住宅のありようと明らかに紐づいている」と指摘。そのうえで、人種差別的な問題への取り組みとして、以下の勇気ある行動から始めようと呼びかけている。
    •  都市デザインが中立的なものではないことを認めましょう。不平等を生き永らえさせることもあれば、解消に向かわせることもあります。
    • 新型コロナウイルスの蔓延以前に、公平さという観点に基づいたプレイスメイキングに取り組んでこなかったのであれば、今この機会に付け込むのはやめて、専門的な能力と生きた経験を備えた都市計画家らにどうか道を譲ってください。
    • 自分の暗黙のバイアス(無意識のうちに行っている思考や先入観)が、個人や集団、あるいは地域全体に向ける視線にどのように影響しているかについて考えてみましょう。
    • 公正さを追求する人が自治体や組織・会社内で意義ある貢献をなすことを妨げるような、見えない障壁を生み出している可能性のある方針や慣習を見直してみましょう。
    • 公平さを受け容れることと、卓越した能力を貶めることを混同してはいけません。公平性を求める都市計画家は、相当な専門知と生きた経験を持つ人たちです。
    • 特に排除されたり疎外されたりといった歴史を持つコミュニティに関わる際には、権力の不均衡な状態を軽減できるよう、その存在を突き止め、積極的に働きかけましょう。
    • あらゆる都市デザインや開発事業について、それらに関連した歴史的経緯や、土地に根差したこれまで語られてこなかったような謂れを調査してみましょう。
    • 公平性に基づいたプレイスメイキングのガイドラインや、個人的な学習目標を練ってみましょう。
      (オープンレターの4ページ目以降に、ワーク形式のアジェンダ立案シートが付いている)

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ピッター氏のツイート

全文(PDF)

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