スウェーデンの都市がタバコの吸殻ゴミ拾いにカラスを試験登用 清掃コスト最大75%削減も視野に

スウェーデンのストックホルム近郊にあるセーデルテリエ市で、路上に捨てられたタバコの吸殻を拾う作業に、カラスの力を借りるプロジェクトが実施されている。

オーストラリアの研究者が2019年に発表した調査によれば、タバコの吸殻ゴミは世界で毎年約4兆5千億個。タバコの吸殻は主にプラスチックで、有害な化学物質を含んでいるため、環境汚染の一因になっていると考えられている。

またスウェーデンで2020年に実施された調査では、年間で10億本以上のタバコの吸殻が路上に捨てられているとされ、その量は国内のゴミ全体の62%に相当すると予測されている

セーデルテリエ市では、こうした吸殻ゴミの多い道路の清掃に年間約2,000万スウェーデンクローナ(約2,527万円)を投じている。現在は吸殻1個あたりの収拾コストは80オーレ(約10円)〜2クローナ(約25円)程度と見積もられており、コスト負担が課題となっている。

今回実施されているプロジェクトは、こうした道路清掃のコスト削減を図る策の一環として行われているもの。

同市に本社を置くスタートアップ「Corvid Cleaning」社が、拾った吸殻ゴミを投入すると、自動で少量の餌が排出される仕掛けになった特殊な装置を開発。
あくまでカラスの自発的な参加によって作動する仕組みだが、一定の訓練を受けたカラスが装置に吸殻を届けるようすを収めた動画が公開されている。

同社の創業者であるクリスチャン・ギュンター・ハンセン(Christian Günther-Hanssen)氏によれば、この手法によって、市内における吸殻ゴミの収集コストを約75%削減でき、吸殻1個あたり20オーレ(約2円)にまで抑えられる可能性があるという。

2014年に発表されたある研究で、カラスは7歳〜10歳の子どもと同程度の推理力を示すことがわかっている。

カラスが適任である理由として同氏は、ポイ捨てされたタバコを見つけ、特定の機械に投入し、報酬として餌を受け取るという、一連の複雑なタスクをうまくこなす能力が期待できること、個体同士で学び合う性質に長けていること、吸殻ゴミを誤食するリスクが小さいことなどを挙げている。

セーデルテリエ市は、現時点ではパイロットプロジェクトだが、カラスの健康への影響や廃棄物の種類を考慮した上で、市全域で展開する可能性があるとしている。

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