ニューヨーク市のDMOが観光復旧に向けたロードマップを公開 市内や近郊都市域からの誘客を目指す取り組みも開始

  • ニューヨーク市の公式DMO組織 “NYC & Company” が、新型コロナウイルス感染症蔓延により打撃を受けた観光業の復旧を図るべく、 “The Coalition for NYC Hospitality & Tourism Recovery” と題した取り組みを市内の旅行団体や宿泊施設などと協力して進めている。このほど、この取り組みの現状や今後の方針など活動のロードマップをまとめたレポートが公開された。
  • レポートでは、同組織の取り組みのゴールとして以下の6点(※以下抄訳)が掲げられている。
    1. ニューヨーク市やその近郊の都市圏に暮らす人々に、近場の散策やステイケーションを通して、街とのつながりを安全に取り戻す方法を紹介する。
      *staycation:休暇に遠出せず近所や自宅で過ごすこと
    2. ニューヨークが世界で最も偉大な街であり、かつパブリックヘルス(公衆衛生)の観点からみて安全に訪れられる街でもあることを世界に印象付ける。
    3. 訪れてくれた人たちに、また旅行で来てもらえるような興奮を味わってもらう。
    4. 会議やイベントの会場としてニューヨークを選ぼうとする主催者らの信頼を取り戻し、将来に向けたビジネスの基盤を確保する。
    5. 世界で最も多様性に富み、排他的でなく、友好的な都市の1つとしてニューヨークの価値を高める。
    6. 観光・宿泊業界で働く40万3千人の人々の仕事を取り戻すサポートをする。
  • そのうえで、これまでと今後の復旧策について、主に以下の3つのステージに分けて段階的に進める方針が示されている。
    • ステージ1(※終了): “RISE” ―春の終わりごろ
      • 啓発と情報発信に注力し、消費者の信頼回復に努める。
      • ニューヨークに暮らす人たちが街に関われるよう、オフィシャルガイドページ上のバーチャルプログラムやコンテンツを充実させる。
    • ステージ2(現在の段階):”RENEW” ―夏ごろ
      • ニューヨークに暮らす人や短時間の移動でニューヨークを訪れられる人に向け、安全に街にアクセスしようとする関心を高めるような新たな取り組みを進める。
      • 再生のためのキャンペーンを立ち上げる。
    • ステージ3:”RECOVER” ―夏の終わりごろから秋
      • 活動を再開する部門が増加し、ニューヨークに暮らす人や訪れる人が自信をもって街を楽しめるようになる時期に合わせて、活性化のキャンペーンをスタートする。
  • このように、当面はニューヨークに暮らす人や近郊から訪れる人をターゲットに据えた取り組み(hyperlocal exploration)に焦点が当てられており、レポートではいくつかの具体的な施策にも触れられている。
    例えば、ニューヨーク市内の5つの行政区(borough:マンハッタン区、ブルックリン区、クイーンズ区、ブロンクス区、スタテンアイランド区)を舞台にした屋外パブリックアート周遊プログラム “Art on the Grid” が、ブルームバーグ財団の助成を受けてスタートしている。

詳細

ALL IN NYC: The Roadmap for Tourism’s Reimagining and Recovery

https://coalition.nycgo.com/wp-content/uploads/2020/07/NYCCompany_Roadmap_for_Tourism_Reimagining_and_Recovery.pdf

Art on the Grid

https://www.nycgo.com/art-on-the-grid/