ロサンゼルス市議会が100%クリーンエネルギーへの移行を2035年までに達成すると決議 従来目標より10年早めバイデン政権の国家目標に合致

アメリカのロサンゼルス市議会がこのほど、再生可能エネルギー(クリーンエネルギー)利用100%に移行する期限について、2035年とすることを決議した。2019年4月に発表した「グリーン・ニューディール計画」で達成年限として示した2045年から10年間の前倒しを目指す。またジョー・バイデン大統領が国家目標として定めている目標にも沿うものとなった格好。

米国内でも気候変動対策に意欲的なロサンゼルス市によるクリーンエネルギー利用100%への移行計画は「LA100」と呼ばれている。
天然ガスによる発電を、風力・太陽光・蓄電池などに置き換え、エネルギー効率や送電の改善を図るプランで、今年3月には、同市の水道電力局(LADWP)国立再生可能エネルギー研究所(NREL)などが、実現可能性や影響予測などをシミュレーションした詳細なレポートも発表された。

このレポートでは、10年以内に98%、2035年までに100%のクリーンエネルギー利用への移行達成が、停電や経済の混乱なしに可能と結論。さらにクリーンエネルギー産業で数千人の新規雇用を創出する可能性にも言及している。
実際、今回の市議会の議決でも、クリーンエネルギー関連の仕事において、市内の環境的・経済的に恵まれない地域からの雇用を増やすことなどを含めた「公平な雇用計画」の実行をLADWPに指示することが盛り込まれている。
市は、クリーンエネルギーへの移行により約9,500件の新規雇用が生まれると見込んでいるという。

一方、NRELの調査によれば、ヴァレー発電所をはじめとする市内のガス発電所の停止が必要になるため、2045年までに年間で平均して470~730メガワット規模の風力・太陽光・蓄電池を導入する必要があると予測されている。
この点については、水素エネルギー貯蔵システムの導入も検討されており、南カリフォルニアに電力を供給するユタ州のインターマウンテン発電所での試験導入が計画されているという。
LADWPのゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアのマーティン・アダムス氏は、クリーンエネルギーへの移行には数百億ドルの費用が掛かると見込まれているものの、その作業の多くは既存のインフラ改修と重ねて実施することが可能だとコメントしている。

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