ウクライナから避難する人に移動手段の支援を ヨーロッパ各地の交通機関が無料乗車券や運賃補助などを提供

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が3月3日に発表した声明によれば、ロシアによるウクライナ侵攻以降の7日間で、同国から避難を余儀なくされた人の数はすでに100万人に上る。

こうした中、ヨーロッパ各地の鉄道会社や航空会社で、ウクライナから避難する人の移動を支援する動きが広がっている。

 

このうちドイツ鉄道(DB)は、ポーランドの鉄道と協力して、ウクライナから避難する人への支援をいち早く表明。2月27日には、パスポートや身分証明書を持つウクライナ難民に対して、ポーランドからドイツまでのすべての長距離列車を無料で利用できるようにした。

さらに、ベルリン、ドレスデン、ニュルンベルク、ミュンヘン行きの列車には身分証明書(パスポートまたはIDカード)の提示のみで無料で利用できるようにしたほか、3月1日にはドイツ国内を移動するウクライナ難民向けの無料乗車券「helpukraine」の発行を開始。上記以遠の鉄道駅に向かいたい場合、所定のサービスセンターに申し出れば受け取りが可能で、指定した目的地まで乗車できる。

なお3月5日には、約200人の難民を乗せた車両が、ウクライナの国境に近いポーランドの都市プシェミシルから、ドイツのブランデンブルク州にある都市コットブスに到着したことも発表されている。

 

一方、ドーバー海峡を横断してイギリス~フランス~ベルギーを結ぶ高速鉄道「ユーロスター(Eurostar)」は、イギリス側のターミナルであるロンドン・セント・パンクラス国際空港までの乗車券を、入国に有効なビザとウクライナのパスポートを持つ人に対して無料で提供すると発表。パリ北駅・ブリュッセル南駅・リールヨーロッパ駅・ロッテルダム中央駅・アムステルダム中央駅で発券を受けることが可能だとしている。

 

ハンガリーの航空会社「ウィズエアー(Wizz Air)」は2日、ウクライナと国境を接するポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアを出発する全便で計10万席を、ウクライナ難民に無料提供すると発表。大型機や臨時便の増便などに加え、すでに上記の国から移動を済ませながらも足止めを余儀なくされている難民を支援すべく、一部地域を除く渡航便の利用時に29.99ユーロ(約3,751円。UAEやアイスランド、カナリア諸島への便では69.99ユーロ=約8,755円)を「救済運賃」として補助するとした。これらの措置は、現在のところ3月いっぱい行われる見通し。

また、ハンガリーの西隣にあるスロベニアも5日、ウクライナ難民はパスポートやIDを提示すれば国内の公共交通機関を無料で利用できることを定めた新法を発表。利用分の料金については、国から交通機関に対して払い戻される仕組みだという。

 

このほか、民泊仲介サービスのAirbnbは、非営利団体Airbnb.orgの取り組みとして、ウクライナ難民のうち最大10万人の一時滞在先確保を支援すると発表。2021年8月にアフガニスタン難民を支援した際と同様、受け入れの申し出や、寄付による支援を呼び掛けている

なおAirbnbをめぐっては、現地でホストとして登録しているウクライナ人を直接支援する策として、予約と支払いだけを行うアイデアもSNSを通じて広まり、話題となっている。


*紹介した各機関のサービス内容は記事執筆時点のものです。最新の状況は、各当該機関にお問い合わせください。


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