世界のSUV販売台数が過去最高水準に急増 CO2排出量の削減に逆風との見方も
国際エネルギー機関(IEA)の発表によれば、2021年における世界の自動車販売台数に占めるSUVの割合が45%を超え、過去最高となる見通しとなった。IEAは、SUVの販売台数の世界的な増加が、各国が掲げているCO2の排出量削減にとって逆風になるとの見方を示している。
SUVは、保有台数の急増やエネルギー消費量の相対的な大きさから、過去10年間における、エネルギー関連の二酸化炭素(CO2)排出量の大きな増加要因になっているとみられている。
実際、2021年だけで見ても、世界のSUV保有台数は3,500万台以上増加。世界全体の保有台数は約3億2,000万台で、ヨーロッパ全体の自動車保有台数の合計に匹敵する数となっている。
IEAは、これにより、年間で1億2,000万トンのCO2排出量増加につながると予測。SUVによる年間のCO2排出量は9億トン以上で、仮に国別に集計した排出量ランキングに位置付けた場合には、世界第6位に相当する水準だという。
一方、自動車メーカーによるSUVの電動化は進められており、2021年発売の電気自動車モデルに占めるSUVの割合は、2019年比10%増の55%に。またアメリカ合衆国とEUにおける2021年の電気自動車販売台数に占める電動SUVの割合は55%以上になると予想されている。
しかし、SUVの増加による2010年以降の世界の排出量の伸びを電気自動車の増加で相殺するためには、電気自動車の保有台数は現在の2倍に拡大する必要があるとみられている。
なお、車体や重量が大きなSUVの増加は、衝突事故による歩行者の死亡リスクの悪化につながると指摘する声も、かねてから挙がっている。
世界健康安全保障アジェンダの発表によれば、SUVをはじめとする小型トラックは、衝突事故の際の歩行者の死亡率を、普通乗用車に比べて約2倍に高めるとされる。また、2018~19年にかけて、自動車との衝突による歩行者の死亡事故で占める割合において、SUVは増加率が81%に上り、乗用車の同53%に比べて高い上昇率を見せている。