全米都市交通担当者協会 著 松浦健治郎+千葉大学都市計画松浦研究室 訳

内容紹介

図解でわかる、安全で豊かな街路のアイデア

車社会・アメリカの街路がいかに変わりつつあるのか。効果的な道路空間の再配分や細かに配慮された設計基準を分かりやすい図解で示した、全米都市交通担当者協会(NACTO)による人間中心の街路設計ガイドライン。日本各地で進む歩きたくなるまちづくりや豊かな公共空間づくりにも欠かせない、アイデア満載の必携書!

体 裁 B5変・188頁・定価 本体3600円+税
ISBN 978-4-7615-3274-1
発行日 2021-09-10
装 丁 見増勇介、永戸栄大(ym design)

▼訳者・松浦健治郎さんに本書についてご紹介いただきました!

紙面見本目次著者紹介訳者まえがき関連イベント

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訳者まえがき
序文 ──ジャネット・サディク=カーン
このガイドについて
・ガイドの使い方

ストリート

ストリートデザインの原則

・重要な原則
・段階的な変化
・地区の文脈に応じたストリートデザイン
・繁華街の一方通行ストリート
・繁華街の双方向ストリート
・繁華街の目抜き通り
・近隣地区のメインストリート
・近隣地区のストリート
・譲り合いのストリート
・ブールバール(並木のある大通り)
・住宅地のブールバール
・公共交通回廊
・緑化された路地
・商業地区の路地
・住宅地のシェアストリート
・商業地区のシェアストリート
[コラム]ケンブリッジのシェアストリート

ストリートデザインの要素

車線の幅

歩道

・4つの歩道ゾーン
・歩道の設計

縁石の延長

・ゲートウェイ
・ピンチポイント
・シケイン
・バスバルブ

凸部による速度制御

・スピードハンプ
・スピードテーブル
・スピードクッション

公共交通ストリート

・バス専用レーン(縁石沿い/オフセット)
・ストリート中央のバス専用レーン
・コントラフロー・バスレーン
・バス停留所

雨水管理

・バイオスウェール
・貫通型プランター
・透水性ストリップ
・透水性舗装

暫定デザイン戦略

暫定デザイン戦略

・縁石の活性化
・実験から常設へ

パークレット

[コラム]サンフランシスコ・パークレット・プログラム

一時的なストリート閉鎖

[コラム]ロサンゼルスのCicLAviaイニシアチブ

暫定的な公共広場

[コラム]ニューヨーク市の広場プログラム

交差点

交差点デザインの原則

・原則
・主要な交差点
・大通りと小さな通りの交差点
・盛り上がった交差点
・ミニ・ラウンドアバウト
・複雑な交差点
・複雑な交差点の分析
・再設計の例

交差点のデザイン要素

横断歩道と交差点

・横断歩道
・従来の横断歩道
・街区中央部の横断歩道
・歩行者安全島

コーナー半径

視認性/視距

交通信号

・信号設置の原則
・先行する歩行者信号の間隔
・段階分割型(時差式)信号
・信号周期の長さ
・固定式と作動式の信号の比較
・信号周期の調整

設計管理

設計管理

速度から設計する

・減速装置

車両から設計する

時間単位で設計する

年単位で設計する

パフォーマンス測定

機能分類

[コラム]サンフランシスコの「より良いストリート計画」

資料

・原注
・参考文献
・クレジット

全米都市交通担当者協会(National Association of City Transportation Officials;NACTO)

地方都市のスケールから広域スケール・国家的スケールにおいて、重要な都市部における交通問題を取り扱うアメリカの非営利団体。主要な都市自治体の交通部局を、広域や国家的スケールにおける交通政策の効果的かつ必要なパートナーとして捉え、彼らの関心事をアメリカ政府の意思決定に反映させている。また、大都市間で交通政策に関するアイデア・識見・優良事例等の情報交換を促進させ、都市や大都市圏が直面する重要な交通問題に対して大都市間の協力関係を築いている。さらに、都市自治体の交通部局の連合体として、共通のビジョンの構築、データの共有、ワークショップや会議での交流、会員都市間の定期的なコミュニケーションなどを通じて、ストリートの設計と交通の実践を高めることに取り組んでいる。(原著の紹介文より翻訳)

松浦健治郎

千葉大学大学院工学研究院建築学コース准教授。博士(工学)。一級建築士。1971年岐阜県高山市生まれ。1994年早稲田大学理工学部建築学科卒業、1996年早稲田大学大学院理工学研究科建設工学専攻博士前期課程修了。(株)小沢明建築研究室所員、(財)日本都市センター研究員、三重大学助教などを経て現職。地方都市における地域資源を活用したまちづくり・都市デザイン・建築設計に関わる実践・研究活動を進めている。共著書に『コンパクトシティの拠点づくり』(2020年、学芸出版社)、『まちづくり教書』(2017年、鹿島出版会)などがある。

千葉大学都市計画松浦研究室(2018年度ゼミ生):
川田諒、杉本美樹、金乃智、陳天、鈴木洸次郎、津村大揮、矢口涼、山本鈴

訳者まえがき

千葉大学都市計画松浦研究室ではゼミ活動の一環として、英語文献ゼミを実施しており、2018年度の翻訳課題として、『Urban Street Design Guide』を取り上げた。車中心の道路から歩行者や自転車中心の道路への転換(道路空間の再配分)が求められている我が国において、道路の構成パターンをどのように転換すべきかを検討するための基礎的資料として優れていると感じたからである。分かりやすい図版や写真が多く掲載されているため、研究室の学生も理解しやすかったようである。2019年3月に研究室の学生用に翻訳本を簡易製本したのだが、本書の内容を研究室内だけでなく日本中に広めたいという気持ちから、学芸出版社に相談した結果、出版のゴーサインが出た。ちょうど、2019年5月に著者の1人であるジャネット・サディク=カーン氏らが来日し、アメリカにおける道路空間の再配分に関する講演をしたことも追い風となったようである。新型コロナウィルスの関係で海外出張や現地調査などがキャンセルになった2020年8~9月に全面的に翻訳を見直すことができた。

翻訳作業を進めながら、本書の示唆する内容や特徴には大きく2つあることを感じた。

1つ目は道路整備に関する常識が間違っていることを明確に示していることである。例えば、「車線を増やせば、車の渋滞は解消される」「安全性確保のためには車線の幅を拡げる必要がある」といった既成概念は間違っており、「車線を減らせば、車利用者は代替ルートや代替交通手段を選択する」「車線の幅を狭めれば車の平均速度は低くなり、結果的に安全になる」といったことが科学的に証明されており、それらについて分かりやすく解説されている。我が国では、戦後以降、都市の再開発により広幅員街路が整備された結果、車社会に対応できた一方で、閑散とした市街地が大量生産されてきたわけだが、今後は広すぎる車道を自転車道・歩道・公共交通路線・緑地等に転換していくような都市デザインを進めていく必要があるだろう。

2つ目は道路空間の再配分の空間イメージが分かりやすく図解されていることである。近年は市街地内の道路や建物といった既存ストックを活用したリノベーションまちづくりが大きな潮流となりつつあるが、そうした視点で見ても本書の内容は興味深い。2018年度の研究室活動では、埼玉県入間市のジョンソンタウン内の駐車帯を人々の滞在空間に変えるパークレットの社会実験を実施したのだが、我が国で盛んに実践されつつあるパークレットの取り組みも含めて、道路空間の再配分は今後の都市計画の重要なテーマの1つである。その空間イメージについて多様な図版を用いて分かりやすく提示している本書は、道路空間の再配分に興味を持つ実務家・研究者・市民にとっての参考書として最適であると言えるだろう。

2021年7月 松浦健治郎

出版記念イベント「米国のガイドラインから考える歩行者中心の街路設計」(2021/9/1|オンライン)

車社会・アメリカの街路がいかに変わりつつあるのか。このほど発行される『アーバンストリート・デザインガイド 歩行者中心の街路設計マニュアル』は、歩行者や自転車を優先した道路空間の再配分や、細かに配慮された街路設計手法を分かりやすいイラスト図解で示したガイドライン『Urban Street Design Guide』(著・全米都市交通担当者協会;NACTO)の日本語版です。

日本でも各地で進む歩きたくなるまちづくりや豊かな公共空間づくりにとっても、本書に描かれるアイデアの数々は大きな示唆を与えてくれます。

今回のイベントでは、本書訳者の松浦健治郎先生(千葉大学准教授)と、NACTO理事長のジャネット・サディク=カーン著『ストリートファイト』の監訳もされた中島直人先生(東京大学准教授)をお招きし、アメリカの道路基準の先進性や、それを日本で実現するための方策や課題などについて対談いただきます。

▼詳細はこちら!
https://event-urbanstreet-210901.peatix.com/

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