第17回「大統領選を左右するラストベルトの近況(2)――ハイテク/バイオの新たな集積でブーミングシティに」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
ラストベルトの都市には、理工系の研究/教育でレベルの高い州立大学があります。また、高度医療/先端医学を先導する総合病院/医学部附属病院、トップレベルのシンクタンクがあります。
いずれもかつて繁栄した時代に創設され、現在に受け継がれてきた歴史的レガシーです。
そうした遺産に恵まれた都市の幾つかは、ラストベルトにあってもハイテク/バイオクラスターの形成が急です。この分野で先行してきたシリコンバレー、テキサスのオースチン、東海岸のボストンなどに対峙し、「Silicon/Bio Heartland」と呼ばれる地域が育っています。
第16回「大統領選の勝敗を決めるラストベルトの近況(1)――光と影の斑模様」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』
11月の大統領選挙まで半年余という時期に、「R.トランプとJ.バイデンが中国製品に高率関税をかけるのを競っている」という記事が出ました(Trump and Biden’s appeal to Rust Belt turns on tariffs, POLITICO, March 14, 2024)。中国の自動車メーカーがメキシコでEV(電気自動車)を組み立て、アメリカに迂回輸出する戦略を練っている動きを捉え、トランプは「200%の関税をかけるぞ」といきり立って見せました。バイデンも、中国製EVに100%の関税をかける方針を打ち出しました。