路面飲食店に道路活用を認めるニューヨーク市のプログラム 恒久化の対象に「小屋」の常設は含めない見通しを当局が表明
米・ニューヨークで、新型コロナウイルス感染症の蔓延以降に実施されてきた、路面の飲食店等に歩道や道路上への座席設置などを認める「オープン・レストラン(Open Restaurants)」プログラム。
このほど、ニューヨーク市でプログラムを管轄するニューヨーク市運輸局(New York City Department of Transportation、NYCDOT、DOT)の担当者が、設置されているもののうち、小屋型の建造物に関しては、感染収束後に撤去を求めるとの見解を示した。
地元紙「ニューヨーク・ポスト」が報じている。
「オープン・レストラン」プログラムは、営業を再開しようとする飲食店が、感染拡大防止のための対人距離、いわゆる “ソーシャルディスタンス” の確保を容易に行えるようにすることを目的としたDOT管轄の施策。条件を満たした申請店舗が、私有地ではない店舗沿いの道路や歩道上にテラス席を設置することを認めている。
2020年6月の開始当初は、あくまでも臨時的な措置として、条件を満たした申請店舗が、私有地ではない店舗沿いの道路や歩道上へのテラス席の設置を認めるものだった。
しかし、危機的な経営状況が続く市内中のレストランやバーの経営者らが、市議会議員らに懸命なロビー活動を実施したことなどから、当時のビル・デブラシオ市長がプログラムの恒久化を表明。2023年の完全恒久化施行に向け、法制面の調整が進んでいる。
市がリアルタイムの状況を公開しているウェブサイトによると、現在市内全域で12,143箇所でプログラムが実施されている。
このプログラムに関し、責任者であるDOTのディレクター、ジュリー・シッパー(Julie Schipper)氏は、このほど市議会の委員会で、
道路に設置されるのは、バリアやテント、傘などですが、道路に建っているような大きな家ではありません
と証言。恒久的なプログラムの中に小屋を想定していないとの見解を明らかにした。
プログラムに関しては飲食店事業者から歓迎の声がある一方、歩道や道路で害虫が増加していることや、特に障がい者の歩道へのアクセスが妨げられていること、夜間の騒音がひどくなり生活環境を悪化させていることなどが、一部地域で取りざたされている。
また、飲食店以外の業種の路面店舗に向けたプログラムがないことへの不公平を指摘する声や、設置された小屋が空き家となった場合に強盗や強姦犯に悪用される治安リスクを指摘する声も一部議員から挙がっている。