夏季停電時にネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)での在宅避難は可能か 早稲田大学などの研究チームが実験で検証

早稲田大学と旭化成ホームズ株式会社らの研究グループがこのほど、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)における、熱中症リスクの少ない在宅避難の実現可能性を検証する研究を実施した。

ZEHとは、外皮の「断熱」性能などの向上、高効率機器などによる「省エネ」、太陽光発電などの「創エネ」の3つによって、年間のエネルギー消費量の収支がゼロになる(使うエネルギーと創るエネルギーが同じ)ことを目指した住宅。

昨今、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる、いわゆる「カーボンニュートラル」な社会の実現に向け、快適で省エネな暮らしが可能なZEHの普及が促進されている。



エネルギー消費が少なく自家発電可能なZEHは、停電への対策としても有効であると注目されているが、停電時の太陽光発電と蓄電設備の活用に関するこれまでの研究の多くは数値計算に基づいたもので、停電時の温熱環境に着目した例は多くなかった。

そこで今回、研究チームは、停電を模擬した実験によって、ZEHにおける熱中症リスクの低い温熱環境を維持した在宅避難の実現可能性を検証することを目的として設定。

太陽光発電4.62kW、蓄電池5.6kWhを導入したZEH実験住宅(静岡県富士市)において、停電下で考えられる5つの生活パターンを設定し、消費電力の異なるさまざまな機器を使用。72時間に設定した停電期間で、電力消費量や温熱環境を測定した。

その結果、夏季停電時においても、エアコン・照明・換気・テレビ・冷蔵庫・携帯の充電の使用、ヒートポンプ給湯器の昼間運転による給湯が可能であり、自立回路上でのエアコンの使用により、熱中症リスクの低い温熱環境が維持されることも明らかになったとしている。

研究チームは今回の研究成果について「ZEHの夏季停電時における在宅避難の実現可能性を明らかとし、住宅のレジリエンス強化に寄与するものと考えています。また、ZEHのレジリエンスに関するメリットを示したことで、ZEHの普及促進にも貢献すると期待しています」などとしている。

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参考・画像出典:プレスリリース

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公開日:2022/10/17
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