自動車の広告に“別の移動手段”を勧めるメッセージ義務付け 気候変動対策の一環としてフランスで2022年3月から施行

フランスで2022年3月から、自動車メーカーの広告に、徒歩や自転車、公共交通機関といった代替の移動手段の利用、もしくは相乗り(シェアモビリティ)の検討を促すメッセージの盛り込みが義務付けられる見通しとなった。

日本貿易振興機構(JETRO)のレポートによれば、フランスは、2019年の「エネルギー・気候法」において、2050年におけるカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、2030年までに1990年比で温室効果ガス排出量を40%削減することを目指している。

今回の措置は、昨年7月にフランス議会で承認された「気候変動対策・レジリエンス強化法」による一連の取り組みの一環で、「道路交通法D.328-3条の適用に関する命令」として2021年12月28日に発表されたもので、2022年3月1日から施行される予定。

自動車メーカーは、CO2排出量の削減のため、環境への影響を消費者に報せるためのアクションが求められている。具体的な義務として、自動車の広告内に、自動車のCO2排出量のクラスのほか、環境負荷の少ない移動手段を検討するよう促すメッセージを表示することが課されている。

盛り込むことが必要なメッセージは、次の3つのいずれか。

  • 「相乗りを検討しましょう」(« Pensez à covoiturer »
  • 「日常的には公共交通機関を利用しましょう」(« Au quotidien, prenez les transports en commun »
  • 「短時間の移動には徒歩や自転車を選びましょう」(« Pour les trajets courts, privilégiez la marche ou le vélo »

なお対象はテレビCMだけでなく、印刷広告やウェブ広告、ラジオ広告などにも適用される。メッセージを「読みやすく、または聞きやすい方法で」表示することも義務付けられ、要件を満たさない場合は5万ユーロ(約72,100ドル/約652万円)が罰金として科される厳しい措置になっている。

このほか、“汚染しない移動”を意味するフランス語のハッシュタグ「#SeDéplacerMoinsPolluer」も別途表示することの義務化も検討されているという。

フランスのエコロジー移行担当大臣(Ministre de la Transition écologique)であるバーバラ・ポンピリ(Barbara Pompili)氏は今回の措置について、「交通機関の脱炭素化は、単に電気モーターへの切り替えだけではありません。公共交通機関や自転車を可能な限り利用することです」などとツイートした。

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