ニューヨークのセントラルパークで気候変動対策の研究ラボが始動 公園の運営団体やイエール大学環境学部などの提携で
アメリカ・ニューヨークにある都市公園「セントラルパーク」にこのほど、“気候ラボ”(Central Park Climate Lab)が開設された。
このラボは、セントラルパークの運営団体である「セントラルパーク・コンサーバンシー」(Central Park Conservancy、CPC)と、イエール大学環境学部、それにニューヨーク市に拠点を置く環境保護団体「ナチュラル・エリアズ・コンサーバンシー」(Natural Areas Conservancy)の提携のもとで、1月12日に発足が発表された取り組み。気候変動への適応や緩和に向けた策の研究拠点となることが目指されている。
セントラルパークは、多額の寄付金などを財源とする年間予算が7,400万ドル(約84.8億円)、年間来園者は4,200万人に上る全米随一の公園。
一方で近年は、洪水により園内が水没する事態もたびたび発生。
2021年9月のハリケーン・アイダ襲来時には、園内の名所である「ベセスダ・テラス」一帯をはじめ広範囲が浸水した。
園内にはすでに、雨量情報を自動で収集する降雨センサーが数多く設置されているほか、潤沢な予算を基にした造園業者による維持管理も比較的手厚い。
こうした環境が、気候変動に関連するデータを収集したり、技術を試行したりする上で適していると判断されたとみられる。
The Central Park ASOS broke the daily maximum rainfall record for 8/21 with 4.45 inches of rain! Most of this rain fell over a 2 hour period, with 1.84 inches falling from 11pm to midnight. Check out rainfall totals from around the area here https://t.co/vAxOrpNU8B
— NWS New York NY (@NWSNewYorkNY) August 22, 2021
イエール大学環境学部地理・都市化科学教室の教授であるカレン・セト(Karen Seto)氏は同大によるリリースで、次のようにコメント。
現在、世界人口の約55%が都市部に住んでいます。地球規模の気候変動の影響をどのように管理し、また緩和していくか。そのことにおいて、都市化が果たす役割はますます重要になっています。この共同研究は、マッピングツールなどを用いて、都市の公園地を保護し、気候変動の緩和や適応に資する都市介入策を開発することが目的です。
またニューヨーク市のエリック・アダムス(Eric Adams)市長もこのリリースに、「セントラルパーク気候ラボは、気候危機と戦うためのよりよい手立てを公園の専門家に提供するものであり、研究と協力の新時代をひらき、国中の都市公園のモデルとなるでしょう」との談話を寄せている。
アダムス氏は2021年秋の洪水発生時、気候変動による被害の格差を是正する必要があるとツイートで意思表明するなど、対策に関心を寄せている。
“If you want to map inequality in New York, you can just count trees.”
Extreme heat is only going to get worse, which is why it's so necessary to rectify the racist policies that have led to less tree cover and fewer parks in lower-income areas.https://t.co/vwLOTuZfAs— Eric Adams (@ericadamsfornyc) August 22, 2021
詳細
- Central Park will become a hub for climate research
- Protecting Our Urban Parks from the Impacts of Climate Change
参考
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Cover Photo: Jermaine Ee on Unsplash