バイデン政権が2030年までの陸域・水域30%保全達成にむけた計画案を発表 気候変動対策と雇用創出の両立目指す
- 米・バイデン政権は8日、国内の土地や水資源、野生生物を保全・回復するための計画案 “America the Beautiful” を発表した。1月末に署名した気候変動対策強化に関する大統領令に盛り込まれた政策のひとつが具体化に向けて動き出した形。
- この案は合衆国の商務省・内務省・農務省などが作成し、国の気候変動タスクフォース(特命班)に提出されたもの。科学的根拠に基づき、地域主導で協働して取り組むことを目指しており、2030年までに陸域・水域の30%を保全するとの目標(30×30)を掲げている。
- この数値目標は、今秋に開催が予定されている国連生物多様性条約の締約国会議で主要議題として掲げられる予定の「2030年までに世界の陸域と海域の30%を保護区とする」との目標を念頭に置いたもの。
- 内務省の報道発表によると、初期段階の投資や協働は以下の6つの優先分野でなされるという。
- 自然が失われた地域コミュニティに公園や安全な屋外環境を創出すること
- 民族(ネイティブアメリカン)主導による保全・回復の優先を支援すること
- 魚や野生動物の生息地やコリドー(生息地を結ぶ回廊地帯)の協働的な保全活動を拡大すること
- 屋外におけるレクリエーション参加を増やすこと
- 漁業従事者や牧場主、農家、森林所有者が自発的に保全に努められるようインセンティブと報酬を与えること
- 回復やレジリエンス強化に向けた取り組みに投資することで雇用を創出すること
- このうち6点目については、自然保護区の職員として国内の若年層を採用して雇用改善につなげることを目指すイニシアチブ “Civilian Climate Corps Initiative” も含まれるという。
- バイデン政権は2030年までに国内の温室効果ガス排出量を2005年比で半減させる目標を設定。プリンストン大学の調査によれば、この達成に向け、2050年までに、風力発電や太陽光発電の設備が米国内の約23万平方メートルに設置されることが見込まれている。アリゾナ州・コロラド州の面積の合計よりも広い土地をどのように確保しつつ、自然環境の保全と両立させるかに注目が集まっている。
詳細
Biden-Harris Administration Outlines “America the Beautiful” Initiative
https://www.doi.gov/pressreleases/biden-harris-administration-outlines-america-beautiful-initiative
FACT SHEET: President Biden Takes Executive Actions to Tackle the Climate Crisis at Home and Abroad, Create Jobs, and Restore Scientific Integrity Across Federal Government
Biden aim to balance infrastructure and conservation goals won’t be easy
Biden Administration Proposes New Civilian Climate Corps
https://crsreports.congress.gov/product/pdf/IN/IN11654
Net-Zero America:Potential Pathways, Infrastructure, and Impacts
https://netzeroamerica.princeton.edu/?explorer=year&state=national&table=2020&limit=200
参考
Reaching Back To The New Deal, Biden Proposes A Civilian Climate Corps
ワンプラネット・サミット閉幕 保護区30%目標に日本も賛同
https://www.wwf.or.jp/activities/news/4556.html
【アメリカ】バイデン大統領、気候変動対策強化の大統領令に署名。複数の政府会議設置、科学的根拠重視
https://sustainablejapan.jp/2021/02/01/biden-climate-executive-orders/58558
Cover Photo by Kace Rodriguez on Unsplash