民藝建築と田舎家−近代における民家の賛美−|令和7年度 民家部会研究発表会

主催 日本建築学会近畿支部民家部会
※詳細は主催団体等にお問い合わせください。

内容

日本建築学会近畿支部民家部会では、民家を規範にした建築文化、をテーマに広い視野で研究を行っています。

山里の民家で慎ましく美しい暮らしを賛美する文化は、日本では平安時代の源氏物語からみられ、中世には山水画で、戦国期以降には茶の文化で、近世以降には文人文化で、近代には、民藝運動や財界人の田舎家で見られました。民藝運動は、柳宗悦が民衆が日々の生活の中で使う工芸品を賛美したことに始まり、太い木部材と黒い古色仕上げなど伝統的な民家のデザインを取り入れた民藝建築を作ります。なぜわざわざ民家を参考にして、どのような建築をつくったのか、石川先生が発表します。
戦前の財界人の間では、山荘の中に民家を移築するなどして楽しむ田舎家の志向がありました。お金持ちがわざわざ貧しい田舎家を自宅に設置する意図はどのような背景があったのでしょうか。これも民藝と通じる価値観でしょう。田舎家について土屋先生が発表します。
民藝と田舎家の要素は、実は遠く離れたイングランドの田舎に建てられた建築にも共通する要素があります。イングランド建築史の視点から大橋先生が発表するとともに、お二人の発表の講評を行います。

発表1  石川祐一 (京都市文化財保護課) 「民藝運動の愛でた民家の美」
発表2  土屋和男(常葉大学) 「黒光りの美学:建築主が田舎家に求めた価値」
講評:  大橋竜太(東京家政学院大学、イングランド建築史)