1年越しで「ドバイ万博」開幕 日本館は伝統的な文様をヒントにしたサステナブル建築
2021年10月1日、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイにて「2020年ドバイ国際博覧会」が開幕した。東京オリンピック同様、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、開催が1年延期されていた。登録博としては中東およびアフリカ地域において初となる開催で、全体のテーマは「Connecting Minds, Creating the Future」(心をつなぎ、未来を創る)、サブテーマは「(1) Mobility (2) Opportunity (3) Sustainability」。
日本館のテーマは「Where ideas meet(アイディアの出会い)」。その建築は、中東と日本の伝統的な幾何学文様が似ていることから生まれた立体格子に、和紙のような白く薄い膜が日よけとなって光と影を表しながら、軽快なファサードをつくっている。この折り紙のようにも見えるファサードは、日本の伝統的な「折形礼法」(折り紙の源流で相手への敬意を表す)も表現されており、夜はこれに照明を当てることで建物が様々な色に変化する。さらに、建物前面に設けられた水盤からの気化熱が立体格子と膜のファサードを通り抜けることによって、半屋外空間の待合いスペースに風を届け、建築全体が1つの環境装置として機能する。建築設計は永山祐子建築設計とNTTファシリティーズ、施工は大林組が担当した。
展示は、日本の伝統から新しいプロダクトや技術に至る様々なコンテンツが最新のテクノロジーで表現される。ミストがゆらめく暗い展示室は、床や壁だけでないあらゆる場所に映像が投影されて幻想的。来場者はソニーのスマートフォンとオープンイヤー型イヤフォンを身に着けることで、位置や姿勢に応じた立体的な効果音やナレーションを体験できる。端末によって来場者の行動がデータ化され、展示のクライマックスシーンがその日訪れた来場者によってつくり出されるといった仕掛けも見どころだ。
日本館のレストランには、中東初となる回転すしチェーンの「スシロー」が出店。ハラル食材に置き換えた定番メニューや万博オリジナルメニューが提供される。
また、東京オリンピックでも話題に挙がったアテンダントのユニフォームは、森永邦彦(ANREALAGE)がデザインを担当。日本館の建築と同様に白と黒で光と影を表現したシンプルなデザインでありながら、ジャケットは地球になぞらえ球体のパターンを採用、すそ広がりのボトムスは袴風パンツとラッピングスカートが共存したシルエット。男女問わず着る人に応じるデザインとなっている。ジャケットやシューズは光に当てることでマル・サンカク・シカク・ハートで構成された幾何学文様が鮮やかに浮かび上がるなど、森永氏らしい仕掛けも施されている。
今回、新型コロナウイルスに関する世界的な状況を踏まえ、会期中にどこからでも日本館を体験できるように特設サイト「バーチャル日本館」「循環 JUNKAN Where ideas meet」が開設された。前者は日本館に関するリアルタイムの情報発信など、後者はいま世界が直面する課題やそれを解決するためのアイデアなどをメッセージとして共有できるオンライン・プラットフォームとなっており、会場を訪れられない人もテーマについて考え参加できる、2021年の現在ならではのコンテンツが用意された。これらの展示が2025年開催予定の大阪万博への橋渡しとなる。
詳細
2020年ドバイ国際博覧会 日本館
https://expo2020-dubai.go.jp/ja/
▼バーチャル日本館
https://expo-whereideasmeet.go.jp/ja/
▼循環 JUNKAN Where ideas meet
ドバイ万博日本館の音響演出を担当
(2021/10/01|ソニーマーケティング(PR TIMES))