竹中工務店 〈聴竹居〉の保存活用事業で「メセナアワード2019」のメセナ大賞を受賞

公益社団法人企業メセナ協議会が企業の文化芸術活動を顕彰する「メセナアワード2019」において、株式会社竹中工務店が「メセナ大賞」を受賞しています。

同社に勤務した建築家・藤井厚二の自邸〈聴竹居〉(京都府乙訓郡大山崎町)について、その「保存管理にとどまることなく、地域全体で取り組むことにより交流を創出し、地域文化の醸成に大きく寄与している」ことが評価されたものです。

詳細

「メセナアワード2019」受賞7活動決定
メセナ大賞は(株)竹中工務店
木造モダニズム建築「聴竹居」による社会貢献と建築文化発信

https://www.mecenat.or.jp/_data/about/uploads/2019-No.06.pdf

関連

人と地域を未来へつなぐ「聴竹居」(竹中工務店)

https://www.takenaka.co.jp/enviro/feature/03/


以下、公益社団法人企業メセナ協議会のプレスリリースより

公益社団法人企業メセナ協議会(東京都港区芝5-3-2、理事長:尾﨑元規)は、「メセナアワード2019」の受賞活動7件(「メセナ大賞」1件、「優秀賞」5件、「特別賞:文化庁長官賞」1件)を決定しました。「メセナアワード」は、企業による芸術・文化を通じた社会創造の観点で特に優れた活動を顕彰するものです。

大賞の株式会社竹中工務店は、歴史的建造物の保存管理にとどまることなく、地域全体で取り組むことにより交流を創出し、地域文化の醸成に大きく寄与している活動が評価されました。そのほか優秀賞5件、特別賞1件についても、地域文化に根差したものや技術・ノウハウなど社業の関連性の高い活動など、継続により新たな文化や価値の創造につながる取り組みが選ばれました。


(中略)


「メセナアワード2019」受賞活動の紹介

大賞:メセナ大賞

株式会社竹中工務店
木造モダニズム建築「聴竹居」による社会貢献と建築文化発信

京都府大山崎町の天王山の麓にある「聴竹居」は、1928年に建てられた建築家・藤井厚二の自邸である。同氏は、竹中工務店の設計組織に在籍した後、海外視察で見聞した欧米の様式と日本の気候風土や自然環境を融合させた「環境工学」を研究し、「日本の住宅」の理想形を追求した。それらの研究成果をもとに日本の住宅の近代化を試み、木造モダニズム建築の傑作「聴竹居」に結実させている。

同社と藤井家とのかかわりは、20年以上前に遡る。貴重な住宅の保存活用のために、2000年に空き家となった「聴竹居」の実測調査を大阪本店設計部の有志で行い、2008年には管理体制を整えてウェブサイトを制作、予約制で一般公開を始めた。全国各地から見学者が徐々に訪れ、2013年には天皇皇后両陛下(当時)が行幸啓された。後世に残していくべき歴史的建造物として、創立120周年記念事業に位置づけ、2016年に土地・建物を譲り受けた。2017年には国の重要文化財に指定され、今では年間来場者が1万人を超えている。

ガイド付き見学対応を担うのは、地元住民で構成された一般社団法人「聴竹居倶楽部」である。日常的に建物の維持管理をしながら、新緑と紅葉の時期には予約なしで見学できるイベント「愛でる会」も開催し、地域全体で保存公開に努めている。また、大山崎町にある千利休の唯一現存する茶室・国宝「妙喜庵・待庵」をはじめ6つの重要文化財の所有者・管理者が語りあう場「大山崎町重要文化財ネットワーク」も設立され、地域での誇りや愛着も増している。

2018年は「聴竹居」竣工90年・藤井厚二生誕130年の記念に、「聴竹居」展を竹中大工道具館で開催。これからも、先人の工夫と知恵が息づく住まいを支え、建築文化の発信とともに、人と地域を未来へつないでいく。

評価ポイント

  • 地域主体で歴史的建造物の保存と公開に取り組み、建築文化を発信している。
  • 建物を通じた人と人との交流を育み、地域に対するシビックプライドを醸成している。

その他「メセナアワード2019」の詳細

https://www.mecenat.or.jp/_data/about/uploads/2019-No.06.pdf