太陽光で充電されたカプセル型電池を街角の雑貨店で手軽にレンタルできるサービス ナイジェリアのスタートアップが試行
太陽光発電で充電されたポータブルバッテリーを、街角の食料品店で手軽にレンタルできるサービスが、ナイジェリアで試行されている。
このサービスはナイジェリアに拠点を置くスタートアップ「Reeddi」社が、同国最大の都市ラゴス内の物販店で提供を開始したもの。
太陽光発電で充電されたリチウム電池内蔵のカプセルを、市内にある所定の日用品物販店で安価にレンタルし、自宅などの電力源として利用できる。
バッテリーはモジュール化されているため、連結することで必要量に応じた電力の供給も可能だという。
ナイジェリアでは、政府による投資の遅れや不足から、1日に何度も停電が発生するほどの脆弱な電力網が慢性的な課題に。JICAによれば、発電設備の容量はピーク時の需要の半分程度にとどまっている。
このため、企業や市民は自前のディーゼル燃料型の発電機で電力不足を補っているのが実情。こうした発電機は高価で入手のハードルが高いことに加え、騒音や排出する温室効果ガスが大きな課題となっている。
同社は“クリーンで確かな電力を、手ごろにアクセスしやすい形で、いつでも・どこでも利用できるように”(We make clean electricity available to everyone anytime and anywhere)をミッションに掲げており、CEOのオルグベンガ・オルバンジョ(Olugbenga Olubanjo)氏は「エネルギーへのアクセスを、牛乳を買うのと同じくらい簡単なものにするのが我々の目標だ」と語っている。
“Our goal is to make energy access as easy as buying milk,” #WeAreReeddi #getReeddihttps://t.co/XAEPFbRZTX
— Olugbenga Olubanjo (@OlugbengaBanjo) September 28, 2021
太陽光を中心とする再生可能エネルギーへの転換は、電力不足解消のための手段として同国でも課題となっている。
しかし、ソーラーパネルの設置に必要な初期費用の捻出や場所の確保は、低所得層やアパート居住者にとって難しいため、発電の手間がかからず、少額で利用でき、利用先までの持ち運びが可能な同社のサービスには期待が寄せられている。
現時点のサービス試行段階では、同社が充電拠点と店舗を往復し、充電済みカプセルの供給と使用済みカプセルの回収を行う形になっているが、将来的には、ソーラーパネルを備えた自動販売機型のレンタルステーションを開設するシステムを構想しているという。
同社はすでに毎月、合計600以上の一般世帯や企業にクリーンな電力を供給しているほか、2021年末までには毎月新たに12,000の家庭や企業をサービスの提供先として追加することを目指している。
さらに今後は、未だ電力が通っていない国内の農村部やアフリカ・東南アジアの地域に展開することも計画中だという。
こうした活動から、地球環境の回復に貢献するプロジェクトを表彰しようとイギリスの王立財団が創設した第1回アースショット賞の最終候補にノミネートされている。
詳細
This Nigerian startup sells solar-powered batteries at corner stores(Fastcompany)
Reeddi Capsules(THE EARTHSHOT PRIZE)
Cover Image: Reeddi Website Screenshot