スウェーデン国立美術館がリニューアルオープン 入場料の無料化で来館者倍増を目標に

改装前のスウェーデン国立美術館(Photo by Abhijeet Vardhan (CC BY-SA 2.0))

ストックホルムにあるスウェーデンの国立美術館が、5年間の改装期間を経て10月13日にリニューアルオープンしました。スウェーデン政府はこれに合わせ、従来徴収していた入館料を廃止し、入場無料にしています。

同美術館は1866年に開館。設立以来、全館規模としては初となる改修事業は、総工費12億スウェーデンクローナ(約1.1億ユーロ、約150億円)をかけて実施されました。
レストランの新設や照明・換気設備などの更新のほか、展示スペースの増設もなされたため、従来の3倍弱となる5,000点以上の作品展示が可能になると見られています。

今回のリニューアルオープンに際し、スウェーデン政府は入館料を無料にすることを決定。当局は、改装前の時点で年間約40万人だった来館者が、無料化により倍増すると予測しています。

美術館・博物館の入場料については、教育の機会平等を推進した1960年の「ユネスコ勧告」において可能な限り無料とするべきであると謳われているほか、日本の「博物館法」でも原則として公立博物館は入館料等を徴収してはならない旨が定められています。

またイギリスでは、入場料の無料化・有料化が政策的に切り替えられてきたことが知られています。

1980年代、当時の保守党政権の要請で、当初から入場無料であった博物館・美術館の多くが、政府予算への依存を脱するために有料化に踏み切りました。
しかし、有料化した施設の多くは入場者数の大幅減に見舞われ、逆に無料を維持した大英博物館、テート・モダン、ナショナルギャラリーなどでは入場者が大幅に増加。
これを受け、1997年の政権交代以後には公共博物館・美術館の入場無料化が段階的に進められ、2001年12月からは全面無料化に至りました。
イギリスの非営利団体「Art Fund」の調査によれば、無料化した施設では、2009年までの8年間で入場者数が2倍以上に増えたとされています。

今回、改修に多額の費用が投入されたスウェーデン美術館においても、入場者数の増加をショップやレストランなど付帯施設での収入増につなげられるかが注目されそうです。

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参考


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