国立台湾博物館 社会的処方の一環として取り組んできた「博物館処方箋」の実務マニュアルを無料公開
- 国立台湾博物館がこのほど、かねてから台北市連合病院と共同で進めている“社会的処方”の取り組みのノウハウをまとめた「博物館処方実践マニュアル」を制作し、オンラインで公開した。今後、関係者から意見を募って、6カ月後をめどに「博物館処方箋」に関する参考書籍の刊行を目指すという。
- 社会的処方とは、医療者が薬を処方することで患者の問題を解決するのではなく、「地域とのつながり」を処方することで問題を解決しようとする試み*1。
イギリス・アメリカ・ニュージーランド・カナダなど、高齢化と医療費の上昇に直面する先進諸国で注目されつつあり、たとえばイギリスの保健省は2018年に政策的な導入に着手。医師は患者の状態に応じて、美術館の訪問や音楽コンサートの鑑賞といった芸術療法を処方している。 - 台湾博物館が台北市連合病院と進めている「博物館処方箋」はこうした社会的処方の一種。主な対象は認知症患者で、博物館には認知症のケアに関するトレーニングを受けたボランティアスタッフやガイド約70名以上が所属しているという。
- 同博物館の教育推進チームの責任者である黄興田氏によれば、今回無料公開されたマニュアルには、実践のためのルールや諸外国における事例についてのディスカッション、収蔵品の展示基準などを収載。同氏は「より多くの博物館・美術館が、認知症やうつ病などの治療における重要な場所になることを願っています」とコメントしている。
*1:西智弘 編著『社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法』
詳細
博物館處方箋實務手冊
https://www.ntm.gov.tw/information_276_123389.html
社交處方箋 台博館將出參考書幫忙治失智
https://udn.com/news/story/7266/5317997
Cover Image: 国立台湾博物館