経済産業省が「ファッションの未来に関する報告書」を公表 循環システムの構築やデジタルファッションなど10のキーワードで整理

経済産業省が2日、有識者らによる研究会「これからのファッションを考える研究会 ~ファッション未来研究会~」(以下、「研究会」)による議論をまとめた「ファッションの未来に関する報告書」を公表した。

この研究会は、日本のファッション産業が、業界の変化を捉えつつ、日本の芸術文化やデジタル技術などのテクノロジーを活用して持続的な価値創造を図るための方策を検討しようと、2021年11月に立ち上がり、全5回にわたって開催されてきたもの。

座長の水野大二郎氏(京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab 特任教授で慶應義塾大学大学院特別招聘教授。著書に『サーキュラーデザイン 持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス』)を筆頭に、デザイナーやジャーナリスト、経営者や起業家、投資家ら30名超の委員が参画し、議論が重ねられた。

今回発表された報告書ではまず、望ましい未来のファッションは「より循環的かつ高い透明性を有し、デジタルとリアルを行き来しながら新たな価値を創出」するものであると表明。

そして、デザイン/製造/販売/消費/廃棄が直線的に連なるこれまでのファッション産業の構造から、デザイン/製造/販売/使用/リセール・再生のプロセスがリアル・デジタルの両面で循環し、さらにブロックチェーン等により各過程でのあらゆる情報が記録され、価値創造者への適正な収益分配などに活用される構造への転換を提示している。

Image: 経済産業省

そのうえで、望ましいファッションの未来に向けたキーワードを、「人と自然に調和的なファッション」「テクノロジーで変わるファッション」「新たな価値を生み出すファッション」の3つの視点から、以下の計10個に整理している。

  1. 需給ギャップを縮小させるビジネスモデル
  2. 良いモノを長く楽しむファッション文化
  3. 循環システムの構築
  4. 質量のないデジタルファッション
  5. 創造性の発揮を支援するテクノロジーの台頭
  6. 創造社会の新しい市場ルール
  7. ラグジュアリー概念のアップデート
  8. これからの海外需要獲得
  9. ビジネスで留意すべきファッションロー
  10. ファッションの未来に求められる人材論

報告書は全190ページで、経済産業省のウェブサイトから全編PDFでダウンロードが可能。問い合わせは同省の商務・サービスグループ ファッション政策室まで。

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