国の登録有形文化財「稲荷湯」の二軒長屋を地域拠点に “銭湯があるまちなみ”の継承めざすクラウドファンディングが始動(締切:2022年8月31日)

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公開日:2022/06/30/最終更新日:2022/07/01

東京都北区滝野川にある銭湯で、国の登録有形文化財に指定されている「稲荷湯」の二軒長屋を地域の憩いの場として再生させようと、一般社団法人「せんとうとまち」が運営資金の調達に向けたクラウドファンディングを実施している。

稲荷湯は、東京都北区、都営三田線「西巣鴨」駅の北西にある銭湯で、現在の場所での開業は大正時代初期にさかのぼる。建物は浴場・主屋と長屋で構成され、特徴的な意匠の宮造りが残っていることなどから、2019年12月には国の登録有形文化財に指定されている。

稲荷湯からほど近い御代の台仲通り商店街

今回クラウドファンディングを実施している一般社団法人「せんとうとまち」は、銭湯やその周辺地域における生活文化の価値の可視化や発信に取り組む団体。世界中の歴史的建造物や文化遺産の保全に取り組むワールド・モニュメント財団から助成支援を受けながら、2020年11月から稲荷湯長屋の再生プロジェクトを本格的にスタートした。2021年春ごろからは実際に長屋の解体や改修を進め、このほど完了したことが発表されている

今回のクラウドファンディングは、改修した長屋を地域拠点として持続的に運営してゆくための資金を募るもの。スペース整備に必要な設備調達のほか、各地の銭湯文化の調査等にかかる人件費にも充てるとしている。

せんとうとまち代表理事で「文京建築会ユース」代表としても活動する栗生はるかさんは、募集にあたり次のようにコメントしている。

ここ10年、自分の身の回りの銭湯が消えていく様子に向き合って、少しでも何かできないものかと駆けずり回ってきました。銭湯が消えることで起こるコミュニティの解体を目の当たりにし、まちが変貌していく状況に悔しい思いをし続けてきました。

その背景には銭湯主の様々な葛藤、後継問題や経営難、建物の老朽化など様々な要因があります。全てがそのまま残せなくても銭湯機能だけ、建物だけ、せめて記憶だけでも……と、様々な専門家と連携しながら少しでも良いかたちで銭湯文化を次世代につなぐ一助となればと活動してきました。そのような経験が生かされた今回の滝野川稲荷湯さんのような事例は大変希少ですが、私たちはこのような事例を少しでも増やしてゆきたく思っています。

しかしながら、多くの銭湯主、銭湯関係者からのご相談を受けながらも、持ち出しでの活動には限界があります。1軒でも多くの銭湯が良いかたちで残り続けられるよう、どうか皆さまのご支援を賜りたくお願いいたします。

「メッセージ」より

募集は2022年8月31日まで。目標金額は300万円となっている。

詳細

参考


Photo: 岩切江津子(学芸出版社)

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