公共図書館への資本投下は近隣の子どもの成績を向上する シカゴ連邦準備銀行が投資効果に関する研究結果を発表
- アメリカ・シカゴにあるシカゴ連邦準備銀行がこのほど、公共図書館への投資効果に関して定量的な評価を試みた研究のレポートを公開した。
- レポートによれば、アメリカ合衆国では、公共図書館約15,000館の運営に対して、毎年120億ドル以上が各地方当局によって拠出されており、1年に1度以上公共図書館を利用する国民は半数以上に上っている。
- 一方でレポートは、公共図書館がコミュニティや子どもらに与える影響を定量的に調べた研究はこれまであまりなされてこなかったと指摘。
今回の研究では、ほぼすべてのアメリカの公共図書館に関するデータを用いて、資本支出による刺激が、図書館のリソースや利用者の利便、学生の成績、地域の住宅価格といった面に及ぼす影響について調査したとしている。 - これによると、図書館への資本の投下によって、図書館イベントへの子どもの参加率は18%、子どもへの図書の貸し出しは21%、図書館への訪問回数の総計は21%増加することが判明した。
- さらに、近隣の学区の子どもたちの試験成績を向上させることも判明したという。具体的には、地域の公共図書館について生徒一人当たり1,000ドル以上投資すると、読解力を図るテストの成績が標準偏差でみて0.02ポイント向上することがわかった。一方で数学のテストの成績には影響がないとみられたという。
- また、(公共図書館への)投資額が急増したのちに住宅価格が変化することはないことから、公共図書館に関して増加したコストと向上した質は、住民によって吸収されていると考えられる、とも指摘している。
詳細
The Returns to Public Library Investment
https://www.chicagofed.org/publications/working-papers/2021/2021-06
Cover Photo by Pauline Andan on Unsplash