開発途上国の地震被害軽減対策を考えるー効果的な被害軽減のアプローチ

主催 比較住宅都市研究会
※詳細は主催団体等にお問い合わせください。
  • 日時:2025年5月9日(金)18:30~20:30
  • 会場:東京都立大学同窓会 八雲クラブ ニュー渋谷コーポラス10階 1001号室 渋谷区宇田川町12-3
  • 参加費:現地…1000円、ネット参加…600円(学生は無料)
  • 詳細・申込:

内容

本年3月のミャンマー地震にもみられるとおり開発途上国では、あまり強くない地震動で甚大な被害を生じている。こうした実態に対して、多くの場合、耐震構造の普及が必要という議論がされる。しかしながら、被害の実態、原因を探ってみると「耐震構造」の範囲外の原因が多い。耐震構造は、柱、梁などの構造部材(地震力などを支える部材)を地震力に耐えるような設計(部材の寸法、材料、鉄筋量など)とするものだが、倒壊した建物の場合、施工不良(コンクリートの打設不良、不適切な配筋など)が多くみられる。また、「設計」を行わない小規模の住宅(以前の日本の在来木造住宅のような職人による建物。海外では煉瓦などの組積造が多い。ノンエンジニアドと総称されている)、外壁、間仕切り壁などの非構造材(構造部材以外の部材)などについては、安全性を確保するための技術基準が整備されていないことが多い。今回、これらの現状、課題について概観するとともに、フィリピンにおけるこれらの課題に対応するための北海道建築技術協会による取り組み(脆弱なコンクリートブロック造ー小規模住宅と非構造壁ーの安全性向上のためのガイドラインの作成と普及)を報告する。

講師のプロフィール:

楢府 龍雄氏(一般社団法人 北海道建築技術協会、JICAテクニカルアドバーザー(元国際協力専門員))
1953年名古屋市生まれ。京都大学工学部建築学科、同修士課程修了。1978年建設省に入省。住宅政策、建築行政、都市開発、国土政策などを経験。2003年7月から(独)建築研究所勤務(現在は国立研究開発法人)、開発途上国の地震対策の研究に従事。そのテーマで博士号取得(筑波大学大学院システム情報工学研究科リスク工学専攻)。2010年8月より、(独)国際協力機構国際協力専門員。開発途上国の防災対策、都市政策、住宅政策などのプロジェクト、研修などに従事。2018年度より同テクニカルアドバーザー(非常勤)、(一社)北海道建築技術協会、(国研)建築研究所特別客員研究員として、開発途上国問題の取り組みを継続。