【受付終了】大方潤一郎(東京大学 都市工学専攻 教授)定年記念 連続セミナー(2018/11/12~2019/1/21まで全6回)

※詳細は主催団体等にお問い合わせください。

[概要]
◎開催日時:2018/11/12~2019/1/21まで全6回
◎会場: 東京大学本郷キャンパス 工学部11号館 講堂
◎詳細・申込:
http://bit.ly/2zM1XIn

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大方潤一郎 (東京大学 都市工学専攻 教授) 定年記念 連続セミナー 2018.11.12-2019.1.21
熟成期のまちづくりビジョン:包摂と支援の生活圏をつくる

1960年代を潮目に2000年続いた世界の文明の急成長期は変曲点を過ぎ、安定的な高原期に向かう緩やかな減速期に入ったという(見田宗介「現代社会はどこに向かうか」岩波新書、2018)。都市づくりについても、都市の成長する力を導くことを通じて都市空間を形づくろうとした時代は終焉を迎えつつある。特に人口減少・超高齢社会化が進む日本では、今ここにある都市・農村空間を、より暮らしやすい、何世代にも渡って住み続けられるような、新しい時代の人間生活圏へと熟成させる共創的まちづくりの仕組みが必要になっている。
そもそも日本の都市空間は初期市街化の過程において都市計画の手が及ばなかったという点で、あるいは適用された都市計画の水準が低かったという点で、少数の例外をのぞき、都市計画に失敗した空間ばかりである。そうした空間を、これから「理想的」な「コンパクトシティ」に変えようとしても無理だろう。
無闇に高密度・連担の「コンパクト」な市街地とすることを求めない。スプロール化や空洞化の結果として生じた居住空間のスポンジ化・多孔質化を活かす。徒歩圏に閉じこもらず、多様な移動手段を取り入れ様々な場所へのアクセシビリティを高める。身近な「第3の居場所」と、多様な交流と支援のつながりを醸す場をつくる。そうして、ながく暮らし続けられるまちやむらをつくりたい。
そのような「熟成期のまちづくり」のビジョンと方法論について、当研究室出身の若手の大学教員の皆さんを中心に、ゲスト講師の先生方の力も拝借して、広く公開で議論する連続セミナーを以下のスケジュールで開催します。

第1回: コンパクトシティのパラドックス: コンパクトでも暮らしやすいとは限らない

<2018年11月12日(月)18:30〜21:30 東京大学本郷キャンパス 工学部11号館 講堂>
全体趣旨説明:大方潤一郎(東京大学) 資料
報告1) 輝く都市 — タワマン街の夢と現実: 野澤千絵(東洋大学) 資料
報告2) 田園都市 — TOD型アーバンビレジの夢と現実: 藤井さやか(筑波大学) 資料
PD) コンパクトな居住地の○と×
野澤千絵、藤井さやか、大方潤一郎、他
– ハワードの「田園都市」とコルビジェの「輝く都市」は、コンパクトな居住地の2大モデルであるが、それを日本で(中途半端に)現実化したような居住地の実態は十分に暮らしやすいものとはなっていない。日本のコンパクトな居住地には何が足らないのか。どうしたら暮らしやすくなるのか。

第2回: 人生百年時代の包摂と支援の生活環境をつくる: コンパクトシティの住環境再考

<2018年11月19日(月)18:30〜21:30 東京大学本郷キャンパス 工学部14号館 141講義室>
PD1)活力ある超高齢社会を実現する地域生活環境基盤整備: 後藤純(東京大学)、大方潤一郎(東京大学)他
PD2)「歩いて暮らせるまちづくり」から「歩けなくても暮らせるまちづくり」へ: 大森宣暁(宇都宮大学)、二瓶美里(東京大学))
全体討論)社会的包摂と社会活動を促進する地域の支援的生活環境のあり方とつくり方
-1920年代アメリカで発明された「近隣住区モデル」は専業主婦のいる子育て家族のための郊外住宅地モデルであった。そこでは子どもと主婦が通過交通に出会わず歩いて基礎的日常生活施設にアクセスできることが目標であった。一方、高齢者の社会的包摂と社会参加を促進し、健康自立寿命を最大化し、最期まで在宅で暮らせるような地域社会を実現するためには、様々な公共公益施設や交流と活動の場に「歩けなくても」アクセスできる地域環境を実現する必要がある。どのような施設や場を、どのように配備し、どのようなアクセス環境(移動支援環境)を整備すべきか。

第3回: スポンジ化する郊外の熟成を考える: スポンジ化を活かす様々な取り組み事例から

<2018年12月3日(月)18:30〜21:30 東京大学本郷キャンパス 工学部14号館 141講義室>
PD1) 計画開発郊外住宅地の生活環境づくり: 均質な戸建て住宅地モデルからの離脱:室田昌子(東京都市大学)、藤井さやか(筑波大学)、他(未定)
– 空き家・空き地の活用手法/隣地買い/居場所・たまり場づくり/住民ベースの見守り・生活支援/移動支援・買い物支援
PD2)農住混在スプロール住宅地のリモデリング: アーバン/ルーラルの2分法からの離脱:姥浦道生(東北大学)、村山顕人(東京大学)、他(未定)
– ジーバーツのグリーンアーバン空間理念の再検討と、様々な分散型居住空間形成の事例: 安曇野、群馬県、三重県… – 低密度化する居住地のリロケーションは可能か。可能であってもトータルな社会的費用の節減とCO2排出量の削減になるのか。こうした場所での暮らしを維持するためにはどうすべきか。

第4回: まちなかの熟成:空間変容のマネジメントと空間文化の維持再生

<2018年12月17日(月)18:30〜21:30 東京大学本郷キャンパス 工学部11号館 講堂>
PD1)大都市の下町的まちなか居住の変容: 変容する木密市街地の将来像:中村仁(芝浦工業大学)、他(未定)
– マンションとミニ3階戸建に変容する低層木造密集市街地のゆくえ
– 高度化を通じた防災性向上をめざすジェントリフィケーションが進む地区で失われていく地域の空間文化をどう維持再生していくべきか。一方、更新が進まず立ち枯れていくような地域をどうするか。
PD2) 地方都市の中心市街地の再生: 地域活性化と居住再生の両立戦略:(パネリスト未定)
– 地域資源(=歴史資源)を活かした地域活性化戦略と静穏な地域の暮らしの両立とは?
– 地方都市の中心市街地では、歴史的資源を活かした移住誘致や観光振興による経済的活性化が盛んになりつつある一方、「まちなか居住」の将来像が見えない。飲食店と土産物屋と博物館と駐車場と若干のオフィスビルと何本かのタワマンのまちになってしまうことでいいのだろうか。地域活性化と居住再生を両立させる戦略はないのだろうか。

第5回: 都市・地域空間の共創的マネジメント手法(1)

<2019年1月7日(月)18:30〜21:30 東京大学本郷キャンパス 工学部14号館 141講義室>
報告1)広域土地利用計画のあり方:姥浦道生(東北大学)
報告2)生活圏の中と縁辺部の緑の保全と育成:秋田典子(千葉大学)
PD)大きな緑・小さな緑の保全と育成の計画論と制度論
(パネリスト未定)

第6回: 都市・地域空間の共創的マネジメント手法(2)

<2019年1月21日(月)18:30〜21:30 東京大学本郷キャンパス 工学部11号館 講堂>
報告1) 都市づくりビジョンを共創するツールとしての都市マスタープラン:村山顕人(東京大学)
PD)都市レベル・地区レベルの「まちづくり共創プラン」の作り方:(パネリスト未定)
全体討論)熟成の都市地域計画体制への転換の戦略

◎関連書籍◎
『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』
蓑原 敬 編著/西村幸夫・佐藤 滋・大方潤一郎 他著
地域の安定と活性化のために何をなすべきか
http://bit.ly/2tB3Ghx

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