『図解 パブリックスペースのつくり方』平賀達也さんに聞いた「いま気になる人・コト」

夏に向けてじわじわと気温のあがる近頃。弊社のある京都でも、鴨川をはじめ外で思い思いの時間を過ごされている方が増えました。

今回は、そのようなパブリックスペースを日々設計されている株式会社ランドスケープ・プラス代表取締役の平賀達也さんに、いま気になっていることをお聞きしました。ご著書『図解 パブリックスペースのつくり方』もあわせてお楽しみください。


最近、公共空間づくりの分野で注目されている方はいらっしゃいますか?


WOTA代表の前田瑶介さんと京都大学の伊勢武史さんです。
お二人とも私と同じ徳島県の辺境地出身であり、最先端のテクノロジーを駆使しながら自然と人間をつなぐ研究や開発を行っています。昨年、前田さんは「グッドデザイン大賞」を受賞、伊勢さんは『生態学者の目のツケドコロ』を上梓されました。


自律的な水循環システムを実現したWOTAの取り組みは、水資源の枯渇が叫ばれる近未来では災害時のみならず日常的に使われる可能性もあり、パブリックスペースとの連携が生まれそうです。
伊勢さんのご著書は存じ上げなかったのですが、公開されている「はじめに」でがっつり掴まれてしまいました。


彼らの頭の中にはとてつもなく解像度の高い設計図があって、その超人ぶりが私を惹きつけるんです。
環境の変化に適応する優れた遺伝子は多様性のある場所から生まれてくるそうですが、出生地との因果関係はあるのか、同郷のよしみでお聞きしてみたいです。


とても興味深いですね。
最近注目されている動きはありますか?


コンセプト策定委員として携わった2025大阪・関西万博ですね。世界中でリモートが日常となったいま、バーチャルとリアルが融合した社会基盤の実装を目指す万博の開催意義は大きいと思います。


問いのデザイン』の塩瀬隆之さんや、建築家の平田晃久さんなど錚々たるメンバーですよね。
「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマが発表されたこちらの基本構想に関するレポートも、読みごたえがありました。


加えて、実務ではアニメやゲームのランドスケープデザインに携わる中、バイオフィリア(自然とつながりたいと願う人間の本能)が仮想空間で希求され始めたことに私たちの事務所(ランドスケープ・プラス)は可能性を感じているところです。
世界をよりよい環境にするため、バーチャルのリテラシーを高める方向にテクノロジーは舵を切るでしょう。2025年の万博がそんな機会になると嬉しいです。


ランドスケープデザインが仮想空間に移行しているんですね・・!仮想空間での設計手法が実空間にフィードバックされたりしたら、おもしろそうです。
最後に、何か告知があればお願いします!


私が所属する一般社団法人ランドスケープアーキテクト連盟(JLAU)は、2023年秋に「自然とともに生きる/Living with Disaster」をテーマにした国際会議を日本で開催します。
JLAUとは自然科学に立脚した環境デザインのプロフェッショナル集団であり、アフターコロナの社会において自然と人間の関係性を再構築することが喫緊の課題です。
世界中で気象災害や健康被害が深刻化する中、国際会議では国内外のプロフェッションやステークホルダーとともに目指すべき社会像を議論するつもりですので、私たちの活動にご興味のある方はぜひご注目ください。


ありがとうございました!
平賀達也さんの共著『図解 パブリックスペースのつくり方』詳細はこちら👇