路上生活者への一時金支援でむしろ生活は再建されやすくなる カナダの研究者が調査
- これまで一般的に、路上生活者にお金を渡すことは彼らの社会復帰のサポートを阻害するとみられてきたが、カナダの研究者が調査により逆の説を提唱している。
バンクーバーを拠点に活動する慈善団体 Foundations for Social Change が主導し、ブリティッシュコロンビア大学と提携したThe New Leaf Project という研究では、下記のとおり調査が進められた。 - 研究者たちは、路上生活者になって間もない50人に7,500カナダドル(約60万円)の一時金を渡した。その後、彼らの生活を12~18か月間観察し、一時金を渡していないグループと比較した。
- これらの調査を受け、来年査読予定の調査報告では、一時金を受け取った(受給者)グループのほうが平均してはやく安定した住まいを見つけたと明らかにされた。一方で、一時金のなかった(非受給者)グループは、住まいの確保に12か月もの遅れがあるとわかっている。
- また、受給者たちは食料・衣料・家賃に多くの一時金を使い、アルコールや煙草、薬物などへの支出は39%減少した。さらに、12か月間の平均で約1,000カナダドル(約8万円)が貯金されていたという。
- これらの調査を通して、50名の路上生活者が夜間に避難所で過ごす必要がなくなれば、一人年間約8,100カナダドル(約64万円)、50名あたりなら約405,000カナダドル(約3,220万円)が節約できることが判明した。
Foundations for Social Change のCEOであるClaire Williamsは、「コストをかけない=無料や安価である、というのは誤った認識だとわかるだろう」とCNNのインタビューに答えている。
詳細
Researchers gave thousands of dollars to homeless people. The results defied stereotypes.
https://edition.cnn.com/2020/10/09/americas/direct-giving-homeless-people-vancouver-trnd/index.html