ベトナムのホイアンとドンラム村の歴史的町並み保存について

主催 比較住宅都市研究会
※詳細は主催団体等にお問い合わせください。
  • 日時:2024年8月22日(木)18時30分~20時30分
  • 会場:東京都立大学同窓会 八雲クラブ ニュー渋谷コーポラス10階 1001号室 渋谷区宇田川町12-3
  • 参加費:オンライン併催。現地参加・・・1000円、ネット参加・・・600円
  • 詳細・申込:http://home.g08.itscom.net/ebizuka/

内容

ベトナム中部ダナン近くのホイアンと北部ハノイ近くのドンラム村は、ベトナムの代表的な歴史的町並である。1990年にベトナム政府よりホイアンの保存への協力要請を受けた日本の文化庁は、「アジア太平洋地域文化財建造物保存修復協力事業」を立ち上げて事業を開始した。すでに独自の協力事業を進めていた昭和女子大学は1992年に国際文化研究所を設立し、「日本建築」セミナー等の民間の修復技術専門家の参加、JICAの支援等を受けて、文化庁とともに本格的な保存調査、技術移転のための修復工事を開始した。これによりホイアンの多くの民家等が文化財建造物としての精密な調査と高度な技術により修復され、現地技術者・技能者等の知識や技術の習得にも大きく貢献した。このホイアンの町並み保存協力事業はベトナム国内だけでなく国際的にも高く評価され、1999年にその歴史的町並みは世界文化遺産登録を果たした。
さらに、ベトナム政府は伝統的集落保存を国家目標のひとつとして掲げ、その要請を受けて文化庁は2002年より奈良文化財研究所、昭和女子大国際文化研究所、千葉大学等とともに集落調査を開始し、2003年より民家修復の技術支援等に継続的に協力してきた。ドンラム村は2005年にベトナムで初めての国家文化財集落(保存地区及び指定文化財群)に指定されている。
一方、町並み集落保存はベトナムの地域の経済や生活環境向上に貢献することを期待され、昭和女子大学は日本各地の伝建地区等保存団体との交流をコーディネートしてきた。具体的には、ホイアンでは2003年「第1回日本祭り」が開催され、現在まで毎年実施され、島根県大田市の石見銀山・松阪市、さらには京都西陣・神戸北野・日本橋地区等の多くの地方自治体や住民団体との交流に発展した。
発表者は、1995年から2009年まで主任文化財調査官、課長、参事官等としてベトナム、インドネシア、韓国、ブータン等の協力事業に関わってきた。
今般、ホイアンで「日本橋」修復竣工式及び第20回日本祭りが開催されると聞き及び、この8月初旬に16年ぶりにホイアンを訪れ、またドンラム村も再訪し、町並み保存の現状を考察した。

講師のプロフィール:

苅谷勇雅 氏(NPO法人 全国町並み保存連盟副理事長)

1948年生まれ。京都大学工学部建築学科、同大学院博士課程単位取得後、1977年京都市役所に就職。都市計画局にて市街地景観保全、歴史的町並み保存、近代洋風建築群保全等を担当。1995年、文化庁文化財部建造物課に移り、主任文化財調査官として伝統的建造物群の保存、重要文化財建造物の修理企画等を担当。2003年、建造物課長、2005年、参事官(建造物担当)、2008年、文化財鑑査官。その後、2009年~2014年まで国立高専機構小山工業高等専門学校校長。工学博士。一級建築士。著書に「京都-古都の近代と景観保存」(至文堂 2005)、「日本の町並み」上下巻(共編著、山川出版社 2016)、「(日本の町並みを歩く)」(AtAd [韓国] 2023)など。

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