【二級建築士・構造力学 合格コラム②】構造を身近なもので考えてみよう
今回の筆者
辰井菜緒さん
修成建設専門学校 建築デジタルデザイン学科・建築CGデザイン学科 科長
大阪市立大学大学院修了、修成建設専門学校卒業。実務経験を経て2016年より修成建設専門学校常勤講師。2022年より大手前大学建築&芸術学部非常勤講師。一級建築士、インテリアプランナー、インテリアコーディネーター、インテリア設計士、キッチンスペシャリスト、商業施設士、既存住宅状況調査技術者講習修了、認定まちづくり適正建築士など、共著に『基礎講座 建築構造力学』『数学が苦手でも解ける!二級建築士試験構造力学』(学芸出版社)がある。
こんにちは。辰井です。
みなさん勉強は進んでいますか?スタートダッシュでガス欠になっていませんか?
今回は、構造ってなんだっけ?をテーマに書いていきます。
そもそも構造って??
構造というコトバ・・・
建築を勉強していると、当たり前のように聞くのですが、そもそも何のことだっけ?
難しそうに聞こえますが、身近なもので考えるとわかりやすくなります。
例えば、ネジを締めるときにつかう工具の『ドライバー』、小さいものから大きなものまでサイズはさまざまですが・・・
持ち手が太い径のドライバーと持ち手が細いドライバー、どっちが力をかけやすいでしょうか?というと、太いドライバーのほうが握りやすく力をかけやすいですよね。
お次は、スパナでナットを回す場合、持ち手が短いスパナと長いスパナだと・・・
長いスパナのほうが力を伝えやすいですよね。
そんなイメージです。
これってみんな構造力学が活かされてるんです!!
作用点に回転させようとする力が働いている状態。
つまり・・・曲げモーメントが働いている状態です。力学の計算式で出てくる【M=○○】ってやつですね!
曲げモーメント・・・力×距離
掛け算なので・・・力が小さいなら、支点からの距離を長くしてあげれば、大きな回転をさせる力が得られるんです。
だから、径が大きいドライバーの方が小さい力でも回しやすいし、長いスパナの方が小さい力でも回しやすいんです。
安定構造物、不安定構造物
そして次によく聞く言葉が、
安定構造物、不安定構造物ということば
構造物は大きく分けると、安定構造物と不安定構造物の2種類に分けられます。
さらに、安定構造物の中でも静定構造物と不静定構造物の2種類に分類されるのです!
安定構造物とは、地震や台風等の強風圧が働いたとしても、すぐに崩壊しない力学的に成立する・安定している構造物のことを言います!
安定構造物には・・・さらに、静定構造物と不静定構造物の2種類に分類することができ、
安定構造物には、下の図のような構造物が含まれます!
不安定構造物とは安定構造物と違い、地震や台風等の強風圧が働くと崩壊してしまう、
力学的に成り立たない構造物のことを言います。
安定構造物に分類される、静定構造物と不安定構造物とは・・・
静定構造物とは、安定構造物の中でも力のつり合い(ΣH=0, ΣV=0,ΣM=0)の式を解くことで、反力・応力を求めることができる構造物のことを言います。
なので・・・基本的には反力数が3つ以下の安定構造物は静定構造物と考えてもらって大丈夫です!(例外は、 3ヒンジラーメンだと反力数4つになります! )
静定構造物の特徴としては、片持ち梁や単純梁などのシンプルな構造であることがあげられます。
シンプルな構造で、ギリギリ不安定にならない!といったイメージです。
不静定構造物
不静定構造物とは静定構造物と違い、力のつり合い条件だけでは反力・応力を求めることができない構造物のことを言います。
不静定構造物の反力・応力を求めるには力のつり合い条件に加えて、変形に関する条件も必要なんですね~。
不静定構造物の特徴としては、安定のために必要以上の部材が存在しているため、構造物の一部が損傷しても崩壊しないことがあげられます。(建物が万が一崩壊しようとするときに余裕度が高くなります!)
今回は、構造物の種類とその特徴について解説しました。
構造力学の基本中の基本ですので、しっかり判別できるようになりたいですね!
(つづく)