前川國男設計の「東京海上ビルディング」が建て替えへ 2022年10月から解体。新ビルはRenzo Piano Building Workshopと三菱地所設計による木造ハイブリット構造

  • 前川國男設計の東京海上日動ビル本館および同新館が一体で立て替えられ、新たなビルの設計をRenzo Piano Building Workshopと三菱地所設計が担当することが発表された。東京海上ホールディングスは2021年3月時点で、環境性能や災害対応の観点から本館ビルを建て替えの予定であると発表していた。
  • 1974年に竣工した「東京海上ビルディング」は丸の内エリア、御幸通り沿いの皇居を臨む敷地に建つ。1963年に建築基準法による31mの高さ制限が撤廃されたことで計画された日本の初期の超高層建築で、計画当時、皇居を含む景観のあり方に関する大論争「美観論争」を巻き起こし、当初計画高さから約30mも低くすることでやっと実現したという経緯がある。ビルの足元には広場が確保されており、敷地いっぱいに建物がせめぎ合うオフィス街の中にひらかれた公共空間をもたらした。
  • 2021年9月には本館ビルの建築史的・美的な価値から、豊田啓介らによるnoizが既存ビルを残し、新たな機能を加えた保存改修を自主的に提案・発表した。既存ビルの上部に新機能や用途を載せ、建物周囲を新たな透明な外皮で巻き込む提案で、まるで”葛饅頭”のように特徴的な赤茶色のレンガタイルが透けて見えるCGが印象的だ。noizは提案について「ここで提示されているのは、近年軒並み老朽化問題が顕在化しつつある、高度成長期の建築群一般に共通する問題で、その状況全体に対する一つのマニフェストでもあります。」と述べている。
  • Renzo Piano Building Workshopと三菱地所による新ビルは、地震等に対応した構造や地域防災拠点としてのスペースの確保、高い環境性能の設備や屋上の大規模緑化など、これからの時代に合わせた機能が備わる。また、国産木材を積極的に使用した世界最大級の木造ハイブリッド構造の超高層オフィスビルとなる。
  • 設計案についての詳細は未発表で、2022年10月から解体着工、2028年度に新・本館ビルの竣工を目指すとのこと。

詳細はこちら

新・本店ビル計画のコンセプトについて

(2021/09/30|東京海上ホールディングス)

https://www.tokiomarinehd.com/release_topics/release/l6guv3000000dfb8-att/20210930_New_Headquarters_Building_j.pdf