[レポート]フィンランド版銭湯に学ぶ!いまどきサードプレイス の楽しみかた|こばやしあやな×加藤優一|2018.12.20
書籍『公衆サウナの国フィンランド』の刊行を記念して、クリスマスモードな二子玉川 蔦屋家電さんで行われた「フィンランド版銭湯に学ぶ!いまどきサードプレイス の楽しみかた」(こばやしあやなさん×加藤優一さん)。
30名の皆さんにご参加いただいた本イベント。二子玉川 蔦屋家電さんのとても素敵な二階ダイニングスペースにて開催させてもらいました。
ゲストとしてお呼びした加藤優一/ @kato_yuichi さんとこばやしあやな/@kousyuu_saunaさんは今年の冬、一緒にフィンランドの公衆サウナをまわった仲(銭湯図解の塩谷歩波/@enyahonamiさんも一緒だったそう)ということで、ほぼ打合せなし!で本番スタート。お二人とも「打合せとかいらないでしょ」みたいな雰囲気なので担当は一人動揺していましたが、結果的に終始笑いの絶えないイベントに。
北国・山形県出身の加藤さんは、幼稚園のころから銭湯が無いと生きていけないくらい生活の一部で、今も高円寺・小杉湯が生活の一部だといいます。10月に立ち上げた株式会社銭湯ぐらしでは、現代の暮らしにフィットする銭湯のある暮らしの価値観や生活観を事業につなげることを試みています。働き盛りのメンバーも若く多彩で、20~30代の彼らにとって銭湯は日々の激務から解き放たれる“デジタルデトックス拠点”なのだといいます。
サウナ文化研究家として活動する著者こばやしさん、実は日本にいた学生~新社会人時代には毎日のように銭湯に通っていたという銭湯フリーク。フィンランド移住後は“郷に入っては郷に従え”で自然と「サウナ」中心の暮らしにシフトすることになったそうですが、つまりサウナは歯磨きをするように当たり前の日常の一部。それは加藤さんも同じだそうで、銭湯好きには「お遍路型」と「定点型」の2種類がいるそうなのですがすが、もっぱら後者の「定点型」なのだといいます(これはサウナにも同じことが言えそう)。
こうして若者の暮らし方を日々アップデートしている加藤さんですが、会社立ち上げのために活動意義をまとめる際、“銭湯の価値”を言語化することにとても苦労したそうです。そして公衆サウナを「フィンランド版銭湯」と位置付けている本書が、その価値を「見事に言い当てている!」といいます。非日常の刺激を求める場所ではなく、平凡な暮らしの一部としてみる加藤さんとこばやしさんとの掛け合いは、終始公衆サウナと銭湯の興味深いシンクロ論ばかり(この内容については、2章の6事例を受けた最終章のこばやしさんのまとめ、に詳しいです/目次はこちら)。
さらに、銭湯を活かした場づくりを目指す「銭湯ぐらし」を立ち上げた加藤優一氏と、日本の銭湯との共通項、公衆サウナが持つサードプレイス的な側面を掘り下げました。従前の社会インフラ的な役割から安らぎや癒しを提供する場として立ち位置を変えたという視点は、言語化されると非常にわかりやすい。
参加者からの質問(今回はサウナ派と銭湯派がちょうど半々来てくださっていたよう)も面白く、公衆サウナと日本のサウナカルチャーとの比較や、世代差、フィンランドに湯船をつくったらどうなる?…などと幅広な視点で質問が出て全く時間が足りず…。まだまだ聞き足りない(話し足りない)駆け足での幕引きだったので消化不良の質問はまた何か別のかたちで…とはいえ、改めて温浴文化を捉えなおす視点を持ち寄って、じっくり深掘りできたかなと思います。
ルールや肩書に縛られず、まちの場をつくり込んでいく両国の温浴文化がこれからどんなまちの一部となるのか、楽しみです。ぜひ本書を手に取って、フィンランドと日本のまちに根付く小さな安息拠点のありかたに思いを馳せていただければ幸いです。
そして二子玉川 蔦屋家電さんでは現在「知恵の交互浴」ブックフェア開催中!!
読み合わせが楽しい本が揃ってます!加藤さんの著書2冊(下記)も必読です!最後に、年末のご多忙の折にご参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました。また本書のご感想(図書券当たります♨)もぜひお聞かせください。
トーク巡業は翌日の京都回につづいていきます(レポートはこちら)
(担当・岩切)
関連書籍
『公衆サウナの国フィンランド ー街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス 』 こばやしあやな 著
http://bit.ly/2F5GujF
『公共R不動産のプロジェクトスタディ/公民連携のしくみとデザイン』公共R不動産 編、加藤優一ほか 著
https://bit.ly/2MrC4Tt
『CREATIVE LOCAL/エリアリノベーション海外編』馬場正尊・中江研・加藤優一 編著
https://bit.ly/2E77T03