第20回「高速道路は時代遅れになる⁈(2)――〈Highways to Boulevards〉の成功事例・苦戦事例」連載『変わりゆくアメリカからさぐる都市のかたち』

「道路の目的」はどこにある?

ヒューマニズムの視点から道路の目的を改読し、環境に、そして人々の暮らしに優しい道路の使い方を模索しているネットワークがあります。そこが発するブログが「2022年は、国レベルの、高速道路に分断されていたコミュニティを再び結び付ける運動にとっては、歴史的な年になった」と記述後、「しかし、国レベルの前進はローカルレベルでの決定的な勝利にはつながっていない」と述懐していました(Freeway fighters list top five needs for 2023, usa.streetsblog.com, March 3, 2023)。

連邦レベルの前進は、1)運輸省が高速道路に分断されたコミュニティを修復するための指針(原則)を示したこと、2)実際に連邦議会がそのプログラムに予算(決して多額ではないが)を付けたこと(Reconnecting Communities Program and the Neighborhood Access and Equality Grand)――です。
一方、「ローカルレベルでは、2022年に解体された高速道路はゼロ、拡張計画が止まったのがわずかに3件(I-710:ロサンゼルス、I-25/C-470:デンバー)に過ぎなかった」とブログは書いていました。

そして「主要メディア(New York Times, Washington Post, Guardianなど)が高速道路問題を積極的に取り上げる時代を迎えています。それを好機と捉え、反高速運動は全国レベルで連帯しなければならない」と呼びかけていました。
しかし、今度、気候変動に関心の薄いトランプ政権が誕生します。バイデン政権とは違った対応になるのではないか、という心配の声が反高速運動の間から聞こえてきます。そうなるとこれまで以上に州政府の対応が、反高速道路運動の明暗に影響する事になります。

(つづく)

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