2021年度グッドデザイン賞受賞記念連載(1)
速報!「がもよんモデル」が「グッドデザイン・ベスト100」に!

2021年度グッドデザイン賞ベスト100に選ばれた、大阪市城東区蒲生四丁目界隈を舞台とする地域づくりの取り組み「がもよんモデル」。

この連載では、“そもそもがもよんって何?”というおはなしから、きっと訪れてみたくなるリアルタイムの街の動きまで、住まいと街の解説者・中川寛子さん(東京情報堂代表、『空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる 「がもよんモデル」の秘密』著者)にレポートいただきます。


第1回の主な内容
  • 「がもよんモデル」は何が評価されたのか
  • グッドデザイン賞における“地域の取り組み”
  • プロデューサーの和田欣也さんがグッドデザイン賞に応募した理由
  • 気になるグッドデザイン賞公式イベントの予定

2019年度の公益社団法人日本都市計画学会関西支部による第22回関西まちづくり賞に続き、2021年10月20日に発表された2021年度グッドデザイン賞で古民家再生(リノベーション)[がもよんモデル](以下「がもよんモデル」)が「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれた

グッドデザイン賞は生活用品、家電、住宅設備など18のカテゴリに分かれており、今年度の応募数は約5800件。昨年より約1000件増えており、そのうちから1608件の受賞が受賞した。

そのうちから審査委員会によって特に高い評価を得たものがベスト100に選ばれている。「がもよんモデル」がエントリーしたのは地域の取り組みや活動、コミュニティづくりの取組・活動を対象とするユニット17。この分野では41件が受賞しており、そのうち、グッドデザイン・ベスト100、グッドデザイン金賞に6件が選ばれている。

審査委員の評価を読むとハードな面だけに留まらない仕組みが高く評価されていることが分かる。その部分の一文が以下のものだ。

単なるハード的な相談にとどまらず、店舗同士が集うコミュニティも運営しており、店舗同士の情報交換や共同のイベント企画などを行っていることで、飲食店同士が共に支え合い、エリア一帯の魅力を押し上げていくための仕組みを丁寧に積み上げている点が素晴らしい。

もうひとつ、評価されたのは家屋を取り壊して空き地になった場所を農園として再生することで空き地をもエリアにとっての価値を生み出す形を見出しているという点。エリアリノベーションというと建物を利用することに目が行きがちだが、それ以外の手法もあるということを示した点が新味があるというわけだ。

ちなみにベスト100を見ると空き家古民家を利用したプロジェクトは2つだけ。「がもよんモデル」と埼玉県入間市の米軍ハウスを再生させたジョンソンタウンで、まだまだ空き家活用の成功例が少ないことを教えてくれる。

がもよんのロゴマーク。「蒲生四丁目は四つの角がある交差点を中心としている街です。その交差点で住民が仲良く井戸端会議している様子を模したのがこのロゴマーク。がもよんの街のシンボルとなっています。」(がもよんにぎわいプロジェクト)

今回の応募について一般社団法人がもよんにぎわいプロジェクト代表理事である和田欣也氏はふたつの目的を挙げる。

ひとつはグッドデザイン賞のように広く知られた賞を受賞することで地域でのがもよんモデルへの関心が高まり、地域に誇りを感じてもらうこと。
もうひとつは書籍を出版した目的と同様、がもよんモデルの認知度を高め、世に広めること。

空き家問題は待ったなし。日本のあちこちで増え続けていますが、がもよんモデルを広め、活用することで空き家は地域の財産に変えられます。それを関西の皆さんだけではなく、日本全国に知っていただきたい。そのための応募がベスト100になりました

10月20日から11月21日まではGOOD DESIGN SHOW 2021と題したイベントが特設ウェブサイトのオンライン企画を中心に行われることになっている。10月28日にはユニット17の審査委員による審査の視点と題したトークセッションも行われる。無料で視聴できるので関心のある人はぜひ。

(<a href=”https://book.gakugei-pub.co.jp/series-article-gamoyon-good-design-vol2/”>続く</a>)


関連リンク

イベント|2021年度グッドデザイン賞審査の視点
ユニット17:地域の取り組み・活動

グッドデザイン賞古民家再生(リノベーション)[がもよんモデル]

https://www.g-mark.org/award/describe/52897

第22回関西まちづくり賞

http://www.cpij-kansai.jp/contents/committee/detail.cgi?id=255

GOOD DESIGN SHOW 2021 特設サイト

https://promo.g-mark.org/


text: 中川寛子