沢田マンション図解談義!知られざる建設プロセスの全貌

屋上まで続く迷路のようなスロープ車路、スケルトンのエレベーター、クレーンが吊られた現在進行形の増築基地としての屋上工場、一つとして同じ間取りがない住戸。沢田夫婦が手作りでつくりあげた驚異の巨大DIY建築として知られ、まるで絵本から飛び出したような高知の「沢田マンション」。現在学芸出版社では、そんな”沢マン”を本当に絵本にしてしまおう!という企画が進行中です。

そんな本を手掛けてくれるのは、建築学科出身の絵本作家・青山邦彦先生。著書『大坂城 絵で見る日本の城づくり』(2016、講談社) などではその建設プロセスを歴史的な資料から読み解き、だれも見たことのない建設現場を絵本の紙面上に再現されました。今回のこの企画でも、沢田夫婦以外だれも見たことのない建設現場の全プロセスを絵にしている真っ最中。

沢マンを建設した張本人、沢田裕江さんに取材中の青山邦彦先生

そして、監修をつとめてくださるのは、加賀谷哲朗さん。建築学生時代に沢マンを隅々まで実測し、建設エピソードを紐解いた『驚嘆!セルフビルド建築 沢田マンションの冒険』(2015、筑摩書房)を執筆されています。

下書き中。左手にあるのが加賀谷先生の著書『沢田マンション超一級資料-世界最強のセルフビルド建築探訪』

沢マン絵本をつくるには右に出るものがいないであろう最強コンビで、増築に増築を重ねたダイナミックな建設プロセスや愉快な暮らしぶりを紹介しよう……!と意気込んで現地取材に赴き、描き出してもらったものの、ふたを開けてみるとその実態を明らかにするのは至難の業。生き物のように日々生まれ変わってきた沢マンのプロセス解明はとうてい一筋縄では行かないのでした。

ページ割の打合せ中。このころから、細かく書けば書くほど、現場の謎が深まっていきます

重機一台、柱一本を描くにも、当時の建設現場を想定し、青山先生に建設プロセスをシミュレーションしてもらいながら、加賀谷先生に過去の資料を漁ってもらって裏付け資料を探し出す、というまさに発見の連続。その過程にはもちろん、新たな気付きや事実もたくさん潜んでいました。

第1期工事がおわり、人が住み始めたところ。となりでは第2期工事が開始しています

今回は、そんなまだまだ知られていない沢マンの魅力を解き明かすこの執筆プロセスを制作側だけで楽しんでいるのはもったいない、せっかくだから皆さんと共有して楽しんでしまおう!という会です。

ここでしか手に入らない40部限定の「沢マン絵本“下書き”ZINE」もプレゼント!

イベント後もまだまだブラッシュアップ中!

と、ありがたいことに会場いっぱいの皆さんにご参加いただき、ものすごい盛況のうちに終えた公開編集会議ですが。その熱を保ったまま、現在もじりじりとバージョンアップを続けております。そしてその制作過程をnoteで連載中です!題して、「沢マン絵本制作日記」。

 

ZINEを手に入れてくださった皆さんは、絵本が完成したあかつきには、なぜここがこうなっているのか、この絵がこう変わったのか……などと見比べる日をお楽しみに。そしてnote連載では引き続き、制作状況を楽しくレポートしてまいります!

第3期建設中、終盤の現場は迫力満点。住民さんたちの暮らしぶりもまだまだ賑やかに描き足される予定!楽しみです……!