「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」が10月1日に開業へ 登録有形文化財「旧九段会館」の保存・復原プロジェクト
登録有形文化財建造物である旧九段会館を一部保存しながら建替えられた複合施設「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」が、2022年10月1日(土)に開業する。
東急不動産株式会社と鹿島建設株式会社による保存・復原プロジェクトとして完成した同施設は、地下3階・地上17階建てで、敷地面積約 8,765㎡、延床面積約68,036㎡。2018年3月1日に両社出資の合同会社が国と合意書を締結し、70年間の定期借地により事業に着手していた。
施設内には東急不動産が展開する会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート九段下」、職域食堂「九段食堂 KUDAN-SHOKUDO for the Public Good」、創建当時の意匠を保存・復原した宴会場を含む「九段会館テラスコンファレンス&バンケット」のほか、クリニックモールや店舗など、様々な付帯施設を備える。
1934年(昭和9年)に完成した九段会館の保存・復原においては、現代では入手や再現が困難な90年前の職人技と素材からなる旧九段会館を、建物北側と東側部分のL字状に保存し、保存部分と新築部分が一体となったデザインを採用。
また、保存部分を単に展示して眺めるだけの場にせず、あえて日常利用を続ける動態保存とすることで、旧九段会館の歴史を身近に感じながら過ごせる空間としたという。
このうちバンケットルームについては、戦前の絵はがきや写真などの創建当時の資料をもとに、床材をヘリンボーン張りのフローリングに変更し、壁紙は特注織物のクロスへの張り替えなどを実施することで、創建時の姿を復原。
これらの意匠を壊さぬようLEDでありながら温かみのある光を放つ、特注のシャンデリアタイプの照明を採用している。
また建物正面の玄関ホールは、創建当時から床や壁に用いられてきた大理石を活用し、重厚な雰囲気を演出。またこの大理石に違和感なく溶け込むよう、床や天井なども創建時の素材に近い風合いでありながらモダンさを併せ持つ建材を厳選し、レトロモダンな空間を演出した。
さらに天井高7mのゆったりとしたプラザは、保存部分と新築部分の外壁をモチーフとした内装で囲まれた、半屋外の雰囲気を演出しているという。
このほか、北側に位置する正面玄関前には、外部との交流を生む緑豊かな広場として「九段ひろば」を設置。都心のオフィスビルながら、様々な人が能動的に関わることのできる緑地デザインとなっており、公益財団法人都市緑化機構が主催する「第32回緑の環境プラン大賞」緑化大賞(シンボル・ガーデン部門)を受賞している。