【受付終了】ネパールの歴史都市における中庭型集住体と共同的空間管理|比較住宅都市研究会(2019/07/19|東京)

※詳細は主催団体等にお問い合わせください。

[概要]
◎開催日時:2019/07/19 18:30~20:30
◎会場: 首都大学東京/旧都立大学同窓会 八雲クラブ ニュー渋谷コーポラス10階 1001号室 渋谷区宇田川町12-3
◎詳細・申込:
http://bit.ly/2jmdUMV

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テーマ

ネパールの歴史都市における中庭型集住体と共同的空間管理

講師

サキャ・ラタ(Shakya Lata)氏(東京都市大学環境学部非常勤講師、立命館大学衣笠総合研究機構客員研究員)

ネパール出身。1999年12月来日。美作大学生活科学部福祉環境デザイン学科卒業、京都府立大学大学院人間環境科学研究科修士課程修了、京都大学大学院工学研究科博士課程修了(在籍中に日本学術振興会 特別研究員DC-2に採用)。2013年博士(工学)取得。その後、立命館大学歴史都市防災研究所の専門研究員、東京大学大学院の日本学術振興会外国人特別研究員、東京大学大学院工学系研究科特任研究員、ハウジングアンドコミュニティ財団特任研究員を経て、現職。専門分野は住宅計画、地域計画、コミュニティ・マネジメント、防災・復興計画。主にネパールの歴史都市をフィールドとして、居住者による共用空間の共同的管理、共用空間を活かしたコミュニティ主導の防災まちづくり・復興計画に関する研究、また、最近は農村部における復興過程に関わる研究を行っている。2004年に岡山県津山市箕作賞、2014年に日本建築学会奨励賞、2014年都市住宅学会博士論文コンテスト優秀賞、2016年に第1回住総研博士論文賞を受賞。著書は Rural and Urban Sustainability Governance(共著 2014)、 東京大学復興デザイン研究体編:復興デザインスタジオ、災害復興の提案と実践(共著 2017)、日本建築学会編:建築フィールドワークの系譜図(共著 2018)

要旨

ネパールの歴史都市、カトマンズ、パタン、バクタプルは世界遺産のまちとしても知られているが、これらの歴史都市は中庭型集住体として形成されていることはあまり知られていない。中庭は複数の住宅で囲まれたものもあれば、住宅と僧院建物で囲まれたもの、僧院建物だけで囲まれたものなど、宗教と居住機能が重層的になっている。中庭空間は共用空間であり、歴史的に存在する共同的管理システムにより継承されてきた。しかし、近年、都市化により様々な管理問題が表面化しつつある。報告者は博士論文にて、ネパールの歴史都市に存在するこれらの中庭型集住体の特徴および中庭空間の所有、利用、管理の実態とその主体間関係の解明により、①所有と利用の関係が明解であることが必ずしも共用空間の管理状況の維持に繋がらないこと、②管理に関わる多様な主体の存在こそが、歴史的な共用空間のマネジメントの持続性につながっているという成果を示した。2015年ゴルカ地震の時には中庭空間が避難所および避難生活の重要な場となり、そのマネジメントはすべて上記のような平常時の管理システムが活かされ、共同的に行われた。
集住体の計画においては、共用空間をいかに配置し、管理問題が発生させずにいかに居住者の居場所にしていくかは常に課題とされている。そういう観点から、ネパールの中庭型集住体の管理システムは重要な1事例として捉えられる。中庭型集住体内の生活環境、共用空間としての管理システム(所有、利用、管理の関係)について説明および震災時のコミュニティの対応について報告をし、集住の空間管理における「共同性」についての議論をしたい。

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