日本女子大学准教授・田中大介氏による寄稿「顕在化した『都市の危機』:情報化社会における集中と分散の両義性」を公開しました
移動が抑制され、多くの飲食店や観光業が苦境に立たされたことで、街の回遊性がローカルエコノミーを支えていたことを再認識する日々です。
メディアと都市の現代的変容を分析した論文「情報化する社会/体験化する都市」(2019)などを執筆された社会学者の田中大介先生に、都市が直面している二つの危機と、緊急事態宣言の発出と解除のプロセスを経て小さな岐路に立つ都市への所感をお寄せいただきました。
「××しない」という自粛だけではなく「○○しよう」から形作られるのが“新しい生活様式”ではないか、という一文に背中を押される論考です。
顕在化した「都市の危機」:情報化社会における集中と分散の両義性(田中大介)
国際移動や県外移動はまだ自粛されているが、地域と地域、国家と国家などのマクロな境界を越える──ブロックバスター都市をつくる──遠距離・高速移動だけがモビリティではない。家と家の外、住宅地と市街地、プライベートスペースとオープンスペースなど近隣にあるミクロな境界を越える──ロングテール都市を支える──近距離・低速移動もまた、貴重な移動の体験である。緊急事態宣言の発出と解除のプロセスは、こうした当たり前のことに気づかせてくれる。
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筆者略歴
田中大介 Daisuke Tanaka
日本女子大学准教授、専門は社会学(都市論、モビリティ論)、近現代都市の公共交通、消費文化、情報環境に関する近代的構造、歴史的展開、現代的様相を社会学的に研究している。近年は、情報化社会における都市についての研究に取り組んできた。編著『ネットワークシティ』北樹出版、共著『モール化する都市と社会』NTT出版ほか。
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